天敵利用による秋冬作メロン主要害虫の総合防除体系
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要約
秋冬作の施設メロンにおいて、コレマンアブラバチ、オンシツツヤコバチ、チリカブリダニ、タイリクヒメハナカメムシ等の天敵類を利用した総合防除体系並びにネオニコチノイド系粒剤の定植時処理と天敵類を組み合わせた体系は、ワタアブラムシ、シルバーリーフコナジラミ、ハダニ類、アザミウマ類を実害のない低い密度に抑制できる。
- キーワード:秋冬作施設メロン、主要害虫、天敵利用、総合防除体系
- 担当:九州沖縄農研・野菜花き研究部・上席研究官
- 連絡先:0942-43-8271
- 区分:九州沖縄農業・病害虫、野菜花き
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
施設メロンでは、ワタアブラムシ、ハダニ類、コナジラミ類、アザミウマ類等の多種の害虫が発生する。これらの害虫の防除はこれまで化学農薬によって対処されてきたが、安全性や生態系への影響の軽減のために、化学農薬の大幅な削減が求められている。そこで、秋冬作メロンにおいて、数種天敵の複合利用あるいは選択的農薬と天敵を組みあわせた総合防除体系を確立し、化学農薬の削減をはかる。
成果の内容・特徴
- ワタアブラムシは、発生初期からコレマンアブラバチ(1600頭/10a)を1週間間隔で4回放飼し、その後、ヤマトクサカゲロウをスポット放飼することにより(図1、総合1区)、化学区とほぼ同様の低密度に抑制される。また、定植時にニテンピラム粒剤(2g/株)を処理し、ワタアブラムシの再発時にアブラバチを3回(図1-1600頭/10a)または2回(図4-800頭/10a)放飼した場合も高い防除効果が得られる(図1、総合2区)。
- シルバーリーフコナジラミは、発生初期からオンシツツヤコバチ(4000頭/10a)を1週間間隔で4回放飼することにより(図2、総合1区)、化学区よりやや劣るが実害のない低い密度に抑制される。また、定植時にニテンピラム粒剤(2g/株)を処理し、コナジラミの再発時にツヤコバチを3回放飼した場合(図2-4000頭/10a;図4-2000頭/10a)の防除効果も高い。
- ハダニ類は、発生初期にチリカブリダニ(2000頭/10a)を1、2回放飼することにより、化学区と同様の低い密度に抑制される(図3、図4)。
- ミナミキイロアザミウマは、発生初期にタイリクヒメハナカメムシ(400頭/10a)を1回(図4)または2回(データ略)放飼することにより、葉当たりがほぼ1頭以下の低密度に抑制される。ニテンピラム粒剤処理の体系では、ヒメハナカメムシの放飼は不要であった(データ略)。
成果の活用面・留意点
- 施設メロンの秋冬作において、天敵類を利用した実用的な総合防除体系を確立あるいは普及する場合の参考となる。
- チリカブリダニ剤とタイリクヒメハナカメムシ剤はメロンでは未登録である。
具体的データ




その他
- 研究課題名:各種天敵利用を核としたアブラムシ等害虫の総合防除技術の確立
- 予算区分:IPM
- 研究期間:1998~2001年度
- 研究担当者:柏尾具俊
- 発表論文等:1)柏尾具俊(2000)九農研 62:88.
2)T. Kashio(2001)2nd International Symposium on Cucurbits abs. 81.