有色かんしょ粕の飼料化
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要約
有色かんしょ粕は、乾物中の可溶無窒素物およびTDN含量がそれぞれ93、81%で、ビートパルプまたはアルファルファーミールを混合することにより、日乳量30kg程度の泌乳牛用TMR(混合飼料)の配合原料として活用できる。
- キーワード:泌乳牛、混合飼料、かんしょ粕
- 担当:九州沖縄農研・畜産飼料作研究部・環境生理研究室
- 連絡先:096-242-7748
- 区分:九州沖縄農業・畜産・草地、畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
有色かんしょは、機能性成分を多く含むことから健康食品としての需要が増加し、それに対応して生産量の増大が予想される。しかし、その色素抽出残渣(粕)は、デンプン等の貴重な栄養分を多く含んでいるにもかかわらず、産業廃棄物として処理されている。そこで、環境保全的な農産物リサイクルの推進に資する目的で、有色かんしょ粕が有する飼料特性を明らかにし、乳牛への適正な給与方式を開発する。
成果の内容・特徴
- 有色かんしょ粕の飼料成分は、粗蛋白質含量が2.57%と低いが、可溶無窒素物含量が93%と多い(表1)。また、栄養価は、TDN含量が81%で、高カロリー・低蛋白質の飼料である(表2)。
- 有色かんしょ粕にビートパルプとアルファルファーミールを加えることにより、色素抽出に用いた余剰の水分が吸着され、乾物率の増加により輸送等のハンドリングが向上する。また、飼料成分も粗蛋白質および粗繊維含量が増加し、乳牛用飼料に適した養分バランスに改善される(表1)。
- 上記の飼料をイタリアンライグラス乾草主体またはコーンサイレージ主体のTMRに20%の割合で混合調製し(表3)、泌乳中期のホルスタイン種泌乳牛2頭ずつに1ヶ月間給与した結果、乾物摂取量、乳量および乳成分に異常は認められない(図1)。
以上のことから、有色かんしょ粕は、日乳量30kg程度の泌乳牛において、TMRの配合原料として十分に活用できる。
成果の活用面・留意点
- 泌乳牛への給与指針として活用できる。
- 原料のかんしょ粕は、色素抽出のための酸を含みpHが2~3と低いことから、保存性は良いが取り扱いに注意する。しかし、ビートパルプまたはアルファルファーミールと混合後は、中性化し腐敗しやすいので、短期間(1~2日以内)で給与する。
具体的データ



その他
- 研究課題名:かんしょの高度利用システムのための未利用資源の畜産利用技術の開発
- 予算区分:21世紀3系
- 研究期間:1999~2001年度
- 研究担当者:神谷充、塩谷繁、岩間裕子、田中正仁
- 発表論文等:神谷充ほか(2002).九農研.Vol.64.(印刷中)