黒大豆・茶大豆に含まれる機能性物質プロアントシアニジン
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要約
黒大豆「新丹波黒」および茶大豆「秋田在来」の種皮には、重合度8を中心にしたプロアントシアニジンが存在する。黒大豆プロアントシアニジンは、抗酸化活性およびアンギオテンシンI変換酵素阻害活性を示す。
- キーワード:黒大豆、茶大豆、プロアントシアニジン、抗酸化性活性、アンギオテンシンI変換酵素阻害活性
- 担当:九州沖縄農研・作物機能開発部・食品機能開発研究室
- 連絡先:096-242-7742
- 区分:九州・流通加工、畑作、作物・夏畑作物、食品
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
古来から黒大豆など黒豆は薬効(咳止め、血圧降下等)があるとして珍重されている。また近年の健康食品ブームを受け、黒大豆は消費者・実需者から注目されている。黒大豆・茶大豆の種皮には機能性の高い植物色素が豊富に含まれていることから、種皮に含まれ、抗酸化活性・アンギオテンシンI変換酵素(ACE)阻害活性を示す機能性成分を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 黒大豆「新丹波黒」の種皮抽出物にはアントシアニン(赤色系色素)とプロアントシアニジン(それ自体は無色であるが、ユニット間のC-C結合の解裂により赤色系の色素アントシアニジンを生成する化合物)が含まれている(図1)。
- Sephadex LH-20カラムを用いたゲル濾過により、種皮抽出物からアントシアニンおよびプロアントシアニジン重合体を分取することができる。(図1)
- 3つの溶出画分ともに、DPPH(1,1-ジフェニール-2-ピクリルヒドラジル)ラジカル消去活性(試験管内レベルでの抗酸化活性評価指標)、ACE阻害活性(高血圧症予防効果と関連する試験管内レベルでの機能性評価)が認められる(図1、表1)。それらの活性はEtOH溶出画分よりもMeOH溶出画分あるいは70%アセトン溶出画分の方で高い。
- 茶大豆「秋田在来」の種皮抽出物には、アントシアニンは含まれず、プロアントシアニジンが含まれている。
- 黒大豆・茶大豆の種皮抽出物の70%アセトン溶出画分をマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(TOF-MS)にて分析すると、重合度8(分子量2350)を中心にした重合度25~30までのプロアントシニジンが検出される(図2)。
成果の活用面・留意点
- 機能性物質プロアントシアニジンが、黒大豆・茶大豆の種皮に含まれているという情報は、有色大豆の利用拡大や新規高付加価値大豆の育種等に有用である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:暖地有色大豆の機能性評価
- 予算区分:21世紀プロ2系(大豆系)
- 研究期間:2001年度(1999~2001年度)
- 研究担当者:須田郁夫,高畑康浩,亀山真由美(食総研),古田收,西場洋一,沖智之,増田真美,
高橋将一,佐藤哲生
- 発表論文等:Takahata et al.(2001)Highly polymerized procyanidins in brown soybean seed coat with
a high radical-scavenging activity,J. Agric. Food Chem.,49(12),5843-5847.