かんしょ連作圃場におけるPasteuria penetransの線虫感染性の変化
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要約
サツマイモネコブセンチュウを防除するために,かんしょ圃場に施用したPasteuria penetransは,連作後の圃場内において,そこで生き残っている線虫に対応した線虫感染性(2期幼虫体表への付着)を獲得する。
- キーワード:Pasteuria penetrans、かんしょ、サツマイモネコブセンチュウ、生物的防除
- 担当:九州沖縄農研・地域基盤研究部・線虫制御研究室
- 連絡先:096-242-7734
- 区分:九州沖縄農業・病害虫
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
線虫寄生性細菌Pasteuria penetrans(以下パスツリア)は,九州地域の青果用かんしょ栽培におけるサツマイモネコブセンチュウ(以下線虫)の防除に有効である。より安定的なパスツリアの利用法を開発するために,線虫汚染圃場に施用後にかんしょ(高系14号)を長期間連作することにより,パスツリアの線虫感染性にどのような変化が生じるのかを明らかにする。
成果の内容・特徴
- パスツリアは,線虫に感染する第一段階として,2期幼虫の体表に付着する(図1)。
- 施用後のかんしょ8連作を経て圃場内で増殖したパスツリア(連作後のパスツリア)は,この圃場内で生き残っている線虫(パスツリア施用・連作後の線虫)に対して良く付着する(図2)。
- パスツリア施用・連作後の線虫は,8年間冷凍保存後に再増殖したパスツリア(連作前のパスツリア)には付着されにくい(図2)。
- パスツリア施用・連作後の線虫は,接触経験の無い複数のパスツリア個体群にも付着されにくい(図3)。
- 以上の結果は,パスツリア,線虫双方の,付着親和性に基づく個体群構成に,相互に適応した変化が生じることを示す。
成果の活用面・留意点
- パスツリアを利用した長期的な線虫防除体系の策定に利用できる。
- パスツリアを施用・連作後の圃場に,線虫防除効果の向上を目的として,パスツリアの追加施用を行う場合には,予め圃場内の線虫個体群に対する付着性を確認する必要がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:九州・沖縄産Pasteuria penetransの特性解明
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:立石靖、佐野善一、岩堀英晶
- 発表論文等:1)立石ら(2001)第9回日本線虫学会大会講演要旨.