茎葉利用カンショ「すいおう」の収量特性と栄養・機能性

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要約

茎葉利用カンショ「すいおう」の地上部は繰返し収穫が可能であり、多収である。ホウレンソウ等と比べ、葉身の栄養性は同等以上、ポリフェノール含量は高い。ラジカル消去能や抗変異原性などの機能性にも優れるため、野菜や機能性食品素材として利用できる。

  • キーワード:カンショ、茎葉利用、ポリフェノール、栄養性、機能性、野菜
  • 担当:九州沖縄農研・畑作研究部・畑作物変換利用研究室、サツマイモ育種研究室
  • 連絡先:電話0986-22-1506、電子メールkuro@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・畑作、野菜・花き
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

カンショ茎葉は、一部の地域で葉柄部が食されている以外はほとんど利用されていない。しかし、葉身部には豊富な栄養素が含まれており、アジア各国では野菜として積極的に利用されている。茎葉部の食味に優れる「すいおう」の収量特性および栄養、機能性を評価する。

成果の内容・特徴

  • 「すいおう」の茎葉部は繰返し収穫が可能であり、種いもからの栽培では、エレガントサマーやシモン1号より多収で、繰返し収穫による収量の低下が少ない(図1)。
  • 「すいおう」葉身のたんぱく質、食物繊維、ミネラルおよびビタミン含量はホウレンソウと同等以上である(表1)。
  • 「すいおう」葉身のポリフェノール含量は乾燥粉末1g当たり約140μmol(クロロゲン酸相当量)で、他の野菜と比べ高い(図2)。
  • 「すいおう」葉身のラジカル消去活性は高く、ポリフェノール含量と相関がある。また、抗変異原活性は他の野菜より高い(図2、図3)

成果の活用面・留意点

  • 野菜の生産が少ない、夏の葉菜(油炒めやお浸し等)として利用できる。
  • 栄養成分およびポリフェノール含量は収穫時期により多少変動する。

具体的データ

図1.「すいおう」の種いも栽培における地上部収量。

表1.「すいおう」葉身の栄養成分

 

図2.「すいおう」葉身と野菜のポリフェノール含量とDPPHラジカル消去能活性

図3.「すいおう」葉身と野菜の抗変異原活性

その他

  • 研究課題名:カンショ茎葉ポリフェノール類の成分特性の解明と利用可能性評価
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001~2003年度