飼料イネの旺盛な再生をもたらす高温期の若刈りと再生後の湛水
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要約
飼料イネの再生は刈取時の高気温により促進される。一定以上の再生乾物重を確保し、かつ合計乾物重が高い刈取ステージは出穂期前後1週間である。湛水は再生茎の発生を確認してから行うと再生乾物重が高くなる。
- キーワード:飼料イネ、再生、高温、出穂期、湛水、草地生産管理
- 担当:九州沖縄農研・畜産飼料作研究部・飼料生産研究室
- 連絡先:電話096-242-7756、電子メールryoji@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・畜産・草地・(草地飼料作)、畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
暖地において飼料イネの多回刈り栽培は、倒伏の回避や多様な栄養価の飼料生産に有効な栽培法と期待される。多回刈り栽培では、刈取後における飼料イネの良好な再生が必須条件になる。
そこで、再生時の気温、刈取ステージおよび刈取後の湛水開始時期が飼料イネの再生に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 飼料イネの刈取後の再生乾物重は、平均気温17.5~27.5℃の範囲では気温が高いほど大きい(図1)。
- 再生に有効とされる貯蔵養分である全有効態炭水化物の刈株中含有率は出穂期頃に最大となり、再生茎数も出穂期刈りで多い傾向を示す。再生乾物重は刈取時期が遅くなるほど減少する。そのため、1回目の刈取時期は、再生乾物重が一定以上得られ、合計収量の多い出穂期前後1週間が適当である(表1)。
- 刈り取り直後の湛水では、根の活性が抑制され、再生量は著しく少ない。再生茎の発生を確認した直後(刈取後7日)からの湛水では、無湛水に比べて根の活性は抑制されるものの再生量は多い傾向を示す(表2)。
成果の活用面・留意点
- 4月から利水が可能な暖地の水田で飼料イネ2回刈り栽培をするときの参考になる。
- 暖地において4月下旬に品種「スプライス」を移植し、刈取り高さが5~10cmの場合のデータである。
具体的データ


その他
- 研究課題名:飼料イネの多回刈りにおける分げつ・再生の生理・生態的特性解明
- 予算区分:地域新技術型
- 研究期間:2000~2002年度
- 研究担当者:小林良次、佐藤健次、服部育男