酵素分析法による飼料イネの可消化養分総量(TDN)の推定
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要約
飼料イネのTDN含量は酵素分析で得られた細胞内容物(OCC)+高消化性繊維(Oa)と細胞壁成分(OCW)を独立変数とした重回帰式で精度良く推定でき、かつ穂重割合をよく反映する。
- キーワード:飼料イネ、酵素分析、可消化養分総量、推定法、飼料利用
- 担当:九州沖縄農研・畜産飼料作研究部・飼料生産研究室
- 連絡先:電話096-242-7756、電子メールih4111@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(草地飼料作)、畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
飼料用稲育種や飼料イネ栽培技術の開発には、その開発目標である可消化養分総量(TDN)を簡易に推定する方法が必要である。
また、飼料用稲育種分野においては、TDN値を育種目標の一つとしている。しかし、栄養価を高めるための育種目標のひとつとして穂重割合を高めているにもかかわらず、TDN推定値に反映されないことが問題となっている。そこで、未消化モミや切断長などの物理的な要因や発酵による消化性の変化を除いた、化学組成のみからみた材料草のポテンシャルとしてのTDN含量を算出する方法として、飼料イネサイレージのTDN含量を精度良く推定でき、かつ材料草における穂重割合をよく反映する式を明らかにする。
成果の内容・特徴
- トウモロコシや牧草等のために作成された既存のTDN推定式の中では、「式1」が牛を用いて実測したTDN含量と推定値の間に有意な相関があり、かつ両者の間には母平均の差の検定で有意な差が認められないため、飼料イネサイレージのTDN含量推定に適用できる(表1)。
- 飼料イネ材料草におけるOCCの約70%は穂部に存在し、OCWおよびObは約80%が茎葉部に存在する(図1)。
- 飼料イネ材料草の穂重割合はOCC含量と正の、OCWおよびOb含量と負の相関がある。したがって、これらの成分が独立変数に含まれている推定式は穂重割合を良く反映する(表2)。
- 「式1」で得られた材料草のポテンシャルとしてのTDN推定値は穂重割合をよく反映する(図2)。
成果の活用面・留意点
- 飼料用稲育種や飼料イネ栽培技術の開発時のTDN含量推定に用いることができる。
- 未消化モミ割合やサイレージ調製によってTDN含量は変動するので、材料草に適用した場合は、その材料草のポテンシャルとしての値となる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:飼料イネロールベールサイレージの品質改善技術ならびに品質評価法の開発
- 予算区分:21世紀プロ
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:服部育男、佐藤健次、小林良次、楠田 宰、中西雄二、塩谷 繁、岩間裕子、田中正仁、神谷 充、
石田元彦(畜草研)、吉田宣夫(埼玉農研セ)、安藤 貞(畜草研)、村井 勝(東北農研セ)、
嶝野英子(東北農研セ)、篠田 満(東北農研セ)