牛肉中Lカルニチン含量に及ぼす月齢と増体成績の影響
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要約
ヒトの体脂肪燃焼や持久力向上効果を有する遊離型Lカルニチンの牛肉中含有量は、月齢と栄養条件の影響を受ける。牛肉中カルニチン含量に対し、加齢は「増加」の方向に、増体成績は「減少」の方向にそれぞれ作用する。
- キーワード:カルニチン、牛肉、月齢、増体、機能性、加工利用
- 担当:九州沖縄農研・畜産飼料作研究部・栄養生理研究室
- 連絡先:電話096-242-7747、電子メールtsune@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・畜産草地,畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
近年、食品中の機能性成分に対する関心が高まっており、体脂肪燃焼促進や持久力向上成分としてのカルニチンが注目されている。他の食品と比較して牛肉中にカルニチンが多く含有されていることは知られているが、どのような条件で飼養された牛の筋肉に多いかは明らかにされていない。そこで、月齢の異なるホルスタイン種牛の胸最長筋における遊離型Lカルニチン含量を調査する。
成果の内容・特徴
- 遊離型Lカルニチン含量は、牧乾草多給で長期間飼養した去勢牛(49ヵ月齢)で非常に高い値を示し、去勢肥育牛(20ヵ月齢)は雄子牛(3ヵ月齢)よりも高い値を示す(図1)。
- カルニチン含量の高い長期飼養牛で、水分含量が低く、色素(ヘマチン)含量は高いが、これらの測定値とカルニチン含量との関係は明らかではない。
- 加齢に伴ってカルニチン含量が増加する。
- 供試子牛5頭における体重とカルニチン含量との間に負の相関が認められ、成長の劣った子牛でカルニチン含量が高くなる傾向を示す(図2)。
- 肥育牛8頭における屠畜前15週間の日増体量(DG)とカルニチン含量との間に負の相関が認められ、屠畜間際の増体成績が劣る肥育牛でカルニチン含量が高くなる傾向を示す(図3)。
成果の活用面・留意点
- 牛肉が有する機能性成分を消費者にアピールし、健康食品としてのイメージを提供できる。
- 機能性成分を多く含む牛肉の効率的生産技術の開発研究につながる。
- 肥育牛において牛肉中のカルニチン含量を高める条件(加齢と低い増体)で飼養した場合、コスト高につながる可能性がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:機能性成分を有する良食味牛肉生産のための自給飼料活用技術
- 予算区分:21世紀6系
- 研究期間:2001~2002年度
- 研究担当者:常石英作、柴 伸弥、松崎正敏