暑熱環境下では豚骨格筋の脱共役タンパク質3型の遺伝子発現が高くなる
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要約
暑熱環境下で飼育した肥育豚の骨格筋における脱共役タンパク質3型(UCP3)の遺伝子発現量は、適温環境下で飼育したものよりも高くなる。
- キーワード:暑熱環境、骨格筋、UCP3、遺伝子発現、家畜生理・栄養、豚
- 担当:九州沖縄農研・畜産飼料作研究部・産肉制御研究室
- 連絡先:電話096-242-7749、電子メールmasaya@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(中小家畜)、畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
暑熱環境下における豚のエネルギー代謝の調節機構を解明することは、暑熱環境による生産性の低下を防止するために重要である。1997年に発見されたUCP3は、骨格筋と褐色脂肪組織のミトコンドリア内膜に特異的に発現し、ミトコンドリア内膜の脂肪酸の通過や活性酸素の除去などエネルギー代謝に重要な役割を果たしている。以上の観点から、豚の骨格筋におけるUCP3の遺伝子発現に暑熱環境が及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 平均気温32℃に温度制御した暑熱環境下と、平均気温23℃に温度制御した適温環境下で、飼料摂取量が同じになるようにして肥育豚を4週間飼育すると、暑熱環境下で飼育した肥育豚のほうが、増体量が低くなり飼料要求率も悪くなる(表1)。
- グリコーゲン分解型の筋肉である胸最長筋と、酸化型筋繊維の割合が胸最長筋よりも多い菱形筋のUCP3 mRNA発現量は、適温環境下と比較して胸最長筋で約10倍、菱形筋で約6倍、暑熱環境下のほうが高くなる(図1)。
- 暑熱環境により負荷された酸化ストレスを低減することが、暑熱環境下で胸最長筋と菱形筋におけるUCP3 mRNA発現量が高くなった一因だと考えられる。
成果の活用面・留意点
- ミトコンドリアの機能やエネルギー代謝に及ぼす、環境温度の影響を研究する際の基礎資料とする。
具体的データ


その他
- 研究課題名:暑熱環境が肥育豚の脱共役タンパク質ならびに甲状腺ホルモン受容体の遺伝子発現に及ぼす影響の解明
- 予算区分:交付金
- 研究期間:1999~2002年度
- 研究担当者:勝俣昌也、梶 雄次