暑熱ストレスにより培養ウシ胚および卵丘細胞内の活性酸素は増加する
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要約
暑熱曝露によるウシ培養初期胚および卵丘細胞内の活性酸素の増加を過酸化状態検出試薬を用い、蛍光輝度を測定することで簡便に検出できる。
- キーワード:家畜育種・繁殖、牛、培養初期胚、培養細胞、暑熱ストレス、活性酸素
- 担当:農研機構・九州沖縄農研・畜産飼料作研究部・繁殖技術研究室
- 連絡先:電話096-242-1150、電子メールmsaka@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・畜産草地(動物バイテク)
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
夏季の暑熱環境は初期胚発生や生殖細胞レベルで悪影響を及ぼし、繁殖成績の低下などを引き起こすことが報告されている。近年の研究により、暑熱による障害は細胞内活性酸素の増加と関係することが指摘されている。そこで、暑熱による体外培養胚および卵丘細胞内の活性酸素の増加との関係を過酸化状態検出試薬を用いて明らかにすると同時に、簡易に検出・評価することを目的とする。
成果の内容・特徴
- 過酸化水素等で酸化を受けることで初めて蛍光を発生する試薬2',7'-dichrolofluorescein diacetate (DCHFDA)を培養液で希釈(10uM)し、暑熱処理をした培養ウシ胚および卵丘細胞を15~20分培養する。細胞内にDCHFDAを取り込ませた後、CCDカメラを接続した落射蛍光顕微鏡(Bフィルター利用)で細胞内蛍光を検出し(図1、図2)、画像解析システムにて蛍光輝度を測定する。
- 相対蛍光輝度の差を比較すると、暑熱ストレスを受けることによりウシ初期胚、卵丘細胞ともに細胞内活性酸素が増加する(図3、図4)。
成果の活用面・留意点
- 視覚的に細胞内活性酸素の増加が検出でき、各種培養細胞に応用可能である。
- 輝度による比較を行う際は、絶対輝度で評価するよりも対照区に対する相対輝度で評価する方がより適切な結果を得られる。
- 培養細胞の場合、細胞密度により輝度が変化してくるので、最初に播く細胞の数および密度を実験前に確認する必要がある。
- 特にストレスに繊細な初期胚は、本解析後の再培養及び他の実験に使用することは避ける。
具体的データ




その他
- 研究課題名:胚発育における暑熱および酸化ストレスの作用機序解明とその制御による耐暑性向上技術の開発
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2002~2005年度
- 研究担当者:阪谷美樹、高橋昌志