沖縄のイチゴ栽培に適する品種と効率的な苗生産

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要約

亜熱帯沖縄におけるイチゴ栽培には、早生性、浅休眠性、良日持ち性、良食味性を有する促成用品種「さちのか」が適する。本品種の効率的な苗生産方法として、一次ランナー苗を親株に用いる二段階採苗法が有効である。

  • キーワード:亜熱帯、沖縄、イチゴ、さちのか、苗生産
  • 担当:九州沖縄農研・野菜花き研究部・野菜育種研究室
  • 連絡先:電話0942-43-8271、電子メールtoma23@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・野菜花き、野菜茶業・野菜栽培生理
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

亜熱帯に位置する沖縄県では、冬季温暖な気候を有効利用した野菜、花き類等による高収益集約作物の栽培技術の導入・定着が強く求められている。そこで、沖縄の冬季に導入可能なイチゴの短期栽培技術を開発するため、雨除けハウス等の簡易施設を利用した冬季収穫による県内自給向け短期作型を目標に、これに適する品種を選定し、その苗生産技術を確立する。

成果の内容・特徴

  • 沖縄の冬季において、促成用品種や四季成り性品種は順調な生育・開花を示すが、深休眠性の中間型品種や寒冷地型品種は生育が緩慢で開花が遅れ、株が矮化し、また冷蔵処理による休眠打破効果も小さい(表1)。
  • 沖縄の自然条件下では、浅休眠性の促成用品種等でもランナー発生開始が遅れて発生本数が少ない。寒冷地型の深休眠性品種では、早期に苗を確保するためには低温処理による休眠打破処理が必要である(データ略)。
  • 冬季短期栽培で収量を上げるためには、腋花房を連続的に分化するタイプ(章姫、サマーベリー等)、及び頂果房(+第1腋果房)で多収を上げるタイプ(Florida belle等)が有望と考えられるが、早生性と浅休眠性を有し、果実が硬く日持ち性に優れ、食味が良い促成用品種「さちのか」が最も適する(表1)。
  • 沖縄における「さちのか」苗の効率的な生産方法として、一次ランナー苗を二次親株に用いて冬期間は少ない親株数で管理できる二段階採苗法が有効である。親株を2月に定植(40株)し、5月下旬から6月上旬に発生する子苗(40株×10=400株)を採苗・定植することで、採苗適期の8月中旬には本圃定植用の子苗数(400株×25=10,000株/10a)を確保できる(図1、2)。

成果の活用面・留意点

  • 親株は8号鉢(3.5l、1株)またはプランター(10l、3株)に植付け、採苗・育苗は雨よけハウスで行う。

具体的データ

表1 生態特性の異なる品種の生育及び果実品質

 

図1 さちのかの子苗数の推移図2 沖縄におけるさちのかの育苗体系

その他

  • 研究課題名:沖縄に適したイチゴ品種及び苗の特性解明
  • 予算区分:亜熱帯野菜・花き
  • 研究期間:1998~2002年度
  • 研究担当者:沖村誠、曽根一純、北谷恵美、野口裕司(北海道農研)、望月龍也、登野盛博一(沖縄農試)、
                      宮城信一(沖縄農大)