ベンジルアミノプリン処理によるキク「神馬」の高温時における腋芽形成の促進
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要約
キク「神馬」の高温遭遇中に分化した葉腋で発現する腋生分裂組織の分化停止は、ベンジルアミノプリンの茎葉散布で回避させることができ、腋芽が形成される。
- キーワード:キク、神馬、ベンジルアミノプリン、腋生分裂組織、腋芽、側枝
- 担当:九州沖縄農研・野菜花き研究部・花き研究室
- 連絡先:電話0942-43-8271、電子メールakioka@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・野菜花き、花き
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
キク「神馬」では高温環境下で腋芽が形成されず不萌芽となることが、苗生産や2度切り栽培で問題となっている。腋芽が形成されない葉腋では、高温により腋生分裂組織における葉原基の分化が妨げられている。そこで、腋芽および側枝の発達に有効とされる生育調節剤のベンジルアミノプリン(BAP)を、葉原基の分化段階に与え腋生分裂組織の分化停止を回避させる。
成果の内容・特徴
- 8月上旬に採穂した腋芽をもつ「神馬」の穂から生育させた母株を摘心し、翌日にBAP150ppm液を株当たり1ml茎葉散布すると、伸長してきた1次側枝の葉腋に2次腋芽が形成される(表1)。
- 2次腋芽の形成率は、BAP散布時において腋芽の状態で分化中の葉の葉腋(4節目)から、その後の側枝伸長にともない分化する5節程度の葉腋で高い(図1)。
- BAP150ppm液を処理した母株に発生する1次側枝を挿し穂とし、得られた株を6、7節残し摘心したとき、2次腋芽に由来する側枝が1株から2、3本発生する(表2)。
- 母株にBAPを茎葉散布したとき、1次側枝由来の挿し穂の発根能力は低下しない。
成果の活用面・留意点
- 試験は挿し芽から終了まで35/28℃(昼/夜温)の腋芽が形成されない温度条件下で行った。
- 苗の生産と、2度切り栽培に利用できる。
- BAPの濃度、散布量を増すと、葉のたい色、奇形葉の発生を招くことがある。
具体的データ

その他
- 研究課題名:無側枝性キクを用いた側枝発生制御機構の解明
- 予算区分:組換え植物
- 研究期間:1999~2002年度
- 研究担当者:岡本章秀、須藤憲一