シンテッポウユリの低温期における花芽分化促進

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要約

シンテッポウユリの花芽分化は、高温条件で促進され、長日条件はそれを助長する。早生種~晩生種の花芽分化は、長日下で3週間程度20℃以上で管理すると早まる。

  • キーワード:シンテッポウユリ、花芽分化、春期採花
  • 担当:九州沖縄農研・野菜花き研究部・花き研究室
  • 連絡先:電話0942-43-8271、電子メールsutok@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・野菜花き、花き
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

播種後1年弱で採花できるシンテッポウユリは、形質が向上したこと、種苗経費が少ないことから、テッポウユリに変わる仏花としての活用が期待される。花芽分化機作が把握されず、実生苗による早期出荷が困難であったこのユリを沖縄等の冬期温暖地域で生産し、春期出荷を容易にするために、低温期の生育開花反応を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 花芽分化は20℃加温で早く開始し、15℃加温では遅れ、高温が花芽分化を促進する。また長日処理によりそれぞれの温度条件で花芽分化が早くなる(図1)。
  • 長日下で、極早生種の‘さきがけ雷山’は20/12℃(昼/夜温)に12日間遭遇すると花芽分化を開始するが、早生種の‘雷山1号’は、同条件では起こらない。25/20℃の高温条件では12日間の遭遇で花芽を分化し、30/25℃条件ではより早まる(図2)。
  • 早晩性が異なる5品種を長日条件下で25日間、最低気温20℃で加温し、その前後を15℃加温で栽培すると、すべての品種が処理後2か月強で開花する(図3)。
  • 抽台は暗黒下における5℃で1~2か月の低温処理によって促進されるが、花芽分化は促進されない。15℃加温、無電照栽培では、花芽分化が4月以降の高温期になって始まり、6月以降に草丈3m、葉数250枚程度で開花する(図表省略)。

成果の活用面・留意点

  • 高温・長日開始時期は、葉数が20枚程度になり株が抽台を開始する時期が適する。
  • 花芽分化に必要な高温の程度と期間は品種によって異なる。品種に応じ、適切な定植時期、温度・日長環境調節が必要である。また処理開始時の苗の大きさも影響する。
  • 沖縄の気象環境では12月中旬頃までは、花芽が分化しやすい温度環境である。葉数が少ない時期から長日処理を行うと矮小で開花する。より気温が低下すると、定植時期や品種によっては花芽分化が高温に遭遇する3月頃になり、5月以降に開花する。

具体的データ

図1 加温温度・長日処理が花芽分化までの葉数に及ぼす影響

 

図2 長日下での12日間の遭遇温度が花芽分化までの葉数に及ぼす影響

 

図3 1月6日~2月1日間の高温処理が生育開花に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:花きの高収益安定生産技術の確立
  • 予算区分:地域総合「亜熱帯」
  • 研究期間:1998~2002年度
  • 研究担当者:須藤憲一、勝連盛憲(沖縄農試)、内藤孝(沖縄農試)、岡本章秀、今村仁