サラダナ根腐病が土壌消毒後にも多発する原因
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要約
サラダナ根腐病菌は土壌薫蒸消毒後にハウス内周辺部、連棟ハウスの連結部と下層の土壌に残存する。本病原菌は消毒後の1作中に急増するため、本病は2または3作目に多発する。
- キーワード:サラダナ根腐病、土壌消毒、残存病原菌
- 担当:九州沖縄農研・野菜花き研究部・野菜花き保護研究チーム
- 連絡先:電話0942-43-8271、電子メールnnorio@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・病害虫、共通基盤試験研究・病害虫
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
サラダナ根腐病は土壌薫蒸消毒を実施しているにもかかわらず消毒後の2、3作目に多発する。選択培地を開発し、低密度の病原菌の検出が可能になったので、病原菌密度と発病の関係及び土壌消毒後に残存する病原菌の位置と密度を調査し、本病の発生原因を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 病原菌密度が耕耘層の土壌1g当り1、0.1、0.01個の時、それぞれ土壌消毒後の1、2、3作目が発病する(表1)。また、1、10、100個の時、それぞれ根部維管束褐変、胚軸部維管束褐変と下葉萎凋、小株の症状が現れる(表略)。
- 病原菌密度が1作中に約500倍に急増するため、土壌消毒後の密度が低くても2、3作目には被害発生密度(10個/g乾土以上)に達する(表1)。
- 土壌消毒後の発病は散発的に周辺部と耕作域の両方から始まる。また、奥の入り口から数mの中央部付近が発病しやすいハウスがある(図1)。
- 病原菌は土壌消毒後のハウスの妻、サイド及び連棟ハウス連結部の土壌に残存する(表2網掛け)。
- 土壌消毒後、病原菌は耕耘層下部と耕盤に部分的に残存し(表2-A、Bハウス)、土壌消毒後のガス抜き耕耘により拡散する(表2-Bハウス)。
- 薫蒸剤処理後に被覆フィルムの周辺部を土壌に埋め込むと、その外側に高密度の病原菌が残る(表2-Bハウス脚注)。
成果の活用面・留意点
- 病原菌と非病原性Fusarium oxysporumは接種試験、体細胞和合性検定またはFo-W1培地上での形態により識別した。
- 周辺部からの未消毒土壌混入防止技術及び下層土の病原菌密度を低下させる消毒技術が必要である。しかし、技術開発においては、これまでの検出限界より遙かに低い病原菌密度が後の多発に関与することに注意しなければならない。土壌消毒後の再汚染は土壌病害に共通した問題であり、これらの技術は各種土壌病害の被害を軽減すると思われる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:レタス根腐病の発病抑制技術の開発
- 予算区分:レタス
- 研究期間:2000~2002年度
- 研究担当者:西村範夫