土壌診断に基づくかんしょ(ジェイレッド)のカリ施肥量
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要約
ジェイレッド(収量目標;3t/10a)のカリウム(K)要求量は16.6kg/10a/1作であり、K2O施肥量20kg/10aを要す。土壌交換性K2O含量が300mg/kg以上の場合は10kg/10a減肥が可能である。
- キーワード:カリウム、かんしょ、減肥、土壌診断
- 担当:九州沖縄農研・環境資源研究部・上席研究官・土壌資源利用研究室
- 連絡先:電話096-242-1150、電子メールarakawa.yusuke@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
カリウム(K)はかんしょ塊根の肥大に重要であり、また要求量も大きいため土壌中のK2O含量の多寡に関わらず多施用しがちである。しかしながら、近年育成されてきた色素用等加工用品種の最適な施肥量については明らかにされていない。Kは多施用すると塩基間のバランスの悪化を招く恐れがあるため、土壌診断に基づいてK2O施肥量の決定を行えるようになることが望まれる。そこで、土壌交換性K2O含量を基準としたカリ施肥量の決定法を提案する。
成果の内容・特徴
- ジェイレッドの塊根乾物収量はカリウムの吸収量が増加するのに従い増加するが、その増加率は逓減する。16.6kg吸収した場合の乾物収量は877kgであり、生重換算3.4tとなり収量目標値に達する。一方、吸収したカリウム1kgあたりの塊根生産量(kg乾物)(塊根生産効率と定義)はカリウムの吸収量が増加するのに従い直線的に減少する。これはカリウムの贅沢吸収を示唆している(図1)。
- K2Oの養分収支は施肥量20kg/10aでほぼ均衡し30kg/10aでは土壌交換性K2Oの増加が認められた。ジェイレッドのK2O施肥量は20kg/10a程度が妥当と考えられる(表1)。
- 土壌交換性K2Oが300mg/kg以上の場合には、K2Oの施肥量を半分の10kg/10aに減肥しても塊根収量を維持することが可能である。(図2)
成果の活用面・留意点
- この成果は複数年次にわたり複数の圃場での栽培から得られた結果であり、広く黒ボク土壌に適応可能と考えられる。しかしながら、透明ビニルマルチ栽培の結果であるので、降雨による養分溶脱を考慮する必要のある無マルチ栽培には適用できない。
- 土壌の窒素肥沃度もかんしょの塊根収量に影響を及ぼすので注意が必要である。
- 堆肥を施用する場合は堆肥散布後の土壌を分析するか、堆肥からのK2O供給量を考慮して施肥量を決定する。
具体的データ



その他
- 研究課題名:かんしょを中心とした畑輪作体系における養分管理技術の開発
- 予算区分:21世紀プロ4系
- 研究期間:2002~2005年度