加工用ダイコンの生育量を制御する剪葉条件

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要約

生育中の加工用ダイコン展開葉周辺部を播種の6~7週間後に剪葉処理すると、ダイコン根重の増加抑制効果がある。展開葉周辺部の円形状剪葉は収穫期を拡大しても収量が安定している。

  • キーワード:加工用ダイコン、剪葉処理、生育制御、収穫期拡大
  • 担当:九州沖縄農研・畑作研究部・作業システム研究室
  • 連絡先:電話0986-22-1506、電子メールwatana@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・農業機械・土木
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

南九州は加工用ダイコンの産地であるが、大ぶりの干し大根が敬遠される傾向にある。また、播種適期は限られており収穫期も短期間で労働が集中するため、ダイコン生育量を抑制する技術や収穫期を拡大する技術の開発が望まれている。
そこで、ダイコンの生育量を制御する栽培管理技術を確立するために、生育中のダイコンの地上部葉身の部分的切除が生育量に及ぼす影響を検討する。

成果の内容・特徴

  • 剪葉方式(図1):展開葉周辺部の円形剪葉処理が根重の抑制に最も効果がある。葉身の切除割合が展開葉周辺部の直線剪葉と同等の場合でも円形剪葉の根重抑制効果が高い。次いで直線剪葉が根重の抑制に効果がある。これとは反対に、未展開葉を切除する中心剪葉では根重が増加する傾向がある(図2)。
  • 剪葉時期:6週期(播種後42日、展開葉数17.5)から7週期(播種後49日、展開葉数20.1)にかけての剪葉時期が円形剪葉、直線剪葉では根重抑制に効果が高い。また5週期(播種後35日、展開葉数15.2)から6週期(播種後42日、展開葉数17.5)にかけての剪葉時期が中心剪葉では根重増加に効果が高い(図2)。
  • 収量性:干し大根産地では3L規格以上の大ぶりの干し大根が敬遠される傾向にあり、S~2L規格の干し根重では、産地対応の条間40cmの栽培様式では円形剪葉と直線剪葉が高い(図3)。特に円形剪葉は収穫期を拡大しても根重が安定している(図4)。
  • 斉一性:生根重の変動係数は円形剪葉と直線剪葉が低くなり、斉一性にすぐれている(図5)。また、生育の早いダイコンの展開葉周辺部に円形または直線剪葉処理を行い根重増加を抑制し、生育の遅いダイコンの未展開葉に剪葉処理を行い根重の増加を促進することにより、さらなる斉一性の向上が期待される。

成果の活用面・留意点

  • 干し大根栽培において、物理的操作による生育調整剤を使わない環境に優しいダイコンの生育制御技術として活用が見込まれる。特に敬遠される大ぶりの干し大根の生産を抑制する栽培管理技術として活用できる。
  • 収穫時の品質はす入りは皆無であるが、排水不良の圃場ではダイコン表皮に縦割れが発生する事例が見られる。

具体的データ

表1.ダイコンの耕種概要と剪葉方法

 

図1.供試した剪葉方式

 

図2.剪葉方式と生根重

図3.剪葉方式と干し根重収量

 

図4.収穫時期と干し根重収量

図5.剪葉方式と生根重変動係数

その他

  • 研究課題名:野菜の生育斉一化のための物理的形態制御作業技術の開発
  • 予算区分:軽労化農業
  • 研究期間:2000~2002年度
  • 研究担当者:渡辺輝夫、深澤秀夫、菅原晃美