リポキシゲナーゼ完全欠失大豆に混入した普通大豆の検定法
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要約
リポキシゲナーゼ完全欠失大豆「エルスター」への普通大豆の混入は、臍の色や粒や粉の官能検査で検定する。大量のサンプルを簡易・迅速に検定するためには、混入率3%以上であれば検定可能なリポキシゲナーゼアイソザイムL-1検定法を利用する。
- キーワード:リポキシゲナーゼ完全欠失大豆、エルスター、普通大豆混入、検定法、大豆加工食品
- 担当:九州沖縄農研・作物機能開発部・食品機能開発研究室
- 連絡先:電話096-242-1150、電子メールhuruta@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・流通加工、作物・夏畑作物、食品
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
近年、リポキシゲナーゼ完全欠失大豆「エルスター」は、青臭みを発生しない有用特性をもつ大豆として実需者から注目され、「エルスター」大豆粉の製造・販売の開始、ならびに大豆粉利用新製品の開発が進行中である。しかし実需者からは、品質保証(普通大豆の混入がないか、官能的に青臭みを感知できない範囲内にあることの保証)済みの原料大豆「エルスター」の供給を求められており、その検定法の開発が強く要望されている。そこで、「エルスター」の有用特性が損なわれない普通大豆の混入許容率を明らかにするとともに、九州地域を例にして栽培から加工に至るまでの簡易・迅速な混入検定法を提唱する。
成果の内容・特徴
- 九州地域において、リポキシゲナーゼ完全欠失大豆「エルスター」への普通大豆「フクユタカ」(「エルスター」の九州普及地域での代表的な品種)の混入は、臍の色で識別できる(「エルスター」の臍の色:黄、「フクユタカ」の臍の色:淡褐)。
- 「エルスター」と同じく臍の色が黄である「むらゆたか」の場合には、色で識別できないので、丸大豆を直接噛むか、粉にしてなめてみる検定法が有効である。
- 大豆粉をなめてみる検定法では、「エルスター」大豆粉に普通大豆粉が2%含まれていると約2割の人が青臭みを感じる(表1)。3%含まれていると約4割の人が青臭みを感じる。
- リポキシゲナーゼアイソザイムL-1検定法を利用すると、「エルスター」大豆粉に普通大豆粉が3%以上含まれていると、検定用のメチレンブルー溶液の色が退色する(図1)。大量のサンプルを簡易・迅速に検定できる手法として有効である(図2)。
成果の活用面・留意点
- 丸大豆を直接噛むか、粉にして舐めてみる検定法では、多検体の場合には味覚の麻痺が生じるので、少数のサンプルの場合に適用する。
- 「エルスター」の栽培・加工利用が進んでいる一部地域では、本成果の情報がすでに先駆的に利用されている。これからの地域では本成果マニュアルに準じて検定してほしい。
- メチレンブルー溶液の退色反応を利用したリポキシゲナーゼアイソザイムL-1検定法(Test1)の手順の詳細は、九州沖縄農業研究センターホームページ主要研究成果(http://ss.knaes.affrc.go.jp/seikadb/index3.html)に記載してある。3分間で肉眼判定できる手法である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:高付加価値加工食品創出のための新規形質大豆の加工利用技術の開発
- 予算区分:新規形質作物
- 研究期間:1998~2002年度
- 研究担当者:古田收、須田郁夫、西場洋一、高橋将一、松永亮一