麹菌によるカフェ酸の製造法

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要約

麹(Aspellugirus awamori mut.)抽出液はカフェ酸誘導体をカフェ酸に加水分解するので、カンショ葉など畑作物の葉からカフェ酸の製造に利用できる。カフェ酸は吸着クロマトグラフィー(MCI gel CHP20P)により容易に精製できる。

  • キーワード:麹菌、カフェ酸誘導体、カフェ酸、畑作物、サツマイモ
  • 担当:九州沖縄農研・畑作研究部・畑作変換利用研究室
  • 連絡先:電話0986-22-1506、電子メールmak825@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・畑作、流通加工
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

ポリフェノール類は抗酸化能など各種機能性を有することから注目されている。しかし、カンショ葉など畑作物の葉はポリフェ ノール類を高濃度に含有しているにもかかわらず、十分に利用されていない。そこで数種のカフェ酸誘導体標品に対する麹菌の影響およびカンショ葉などのポリ フェノール画分に対する影響を明らかにし、畑作物未利用部分の有効利用促進に資する。

成果の内容・特徴

  • 麹(Aspellugirus awamori mut.)抽出液は3,4,5-トリカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、4,5-ジカフェオイルキナ酸、クロロゲン酸をカフェ酸に変換する(図1)。
  • カンショ葉(アヤムラサキおよびシモン1号)、ヨモギ、ゴボウ葉のポリフェノール画分に麹菌抽出液を作用させることにより、カフェ酸誘導体がカフェ酸に変換される(図2)。よって、この手法はカフェ酸の製造法として利用できる。
  • カフェ酸は吸着クロマトグラフィ用ゲル(MCI gel CHP20P)に吸着後、40%メタノールで溶出することにより容易に精製できる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • カフェ酸は抗酸化能や抗腫瘍性など各種機能性および体内への吸収が報告されている。機能性食品素材等の利用が考えられる。
  • 企業で実用化の予定がある。
  • カフェ酸誘導体のカフェ酸への変換は麹(Aspellugirus awamori mut.)の作用で得られた成果であり、他の麹菌で同等の成果が得られるかどうかは不明である。
  • カフェ酸誘導体は上記以外にも類似成分が存在するため、これらの成分がカフェ酸に変換されるか否かについては個々に調べる必要がある。

具体的データ

図1 精製カフェ酸誘導体の麹菌抽出液によるカフェ酸への変換

 

図2 畑作物ポリフェノール画分の麹抽出液によるカフェ酸への変換

 

図3 麹菌で処理された焼酎粕から吸着クロマトグラフィ(MCI gel CHP20P)によるカフェ酸の精製

 

その他

  • 研究課題名:焼酎粕よりダイエット効果、抗酸化および抗がん能などの生活習慣病予防効果を持つ健康飲料の製造技術の開発
  • 課題ID:07-03-04-01-15-03
  • 予算区分:平成14年度 食品リサイクル促進技術開発事業
  • 研究期間:2002年度
  • 研究担当者:吉元 誠、倉田理恵、藤井信(鹿児島大学)、侯徳興(鹿児島大学)、池田浩二(田苑酒造(株))
  • 発表論文等:
    1)特願 2003-154358 平成15. 5. 30.
    2)特願 2003-154436 平成15. 5. 30.