暖地向け黒大豆新品種「クロダマル」

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

「クロダマル」は暖地向けに初めて育成された煮豆用大粒黒大豆品種であり、「丹波黒」より煮豆の製品歩留まりが高い。また、蒸煮大豆および大豆煮汁のアントシアニン含有量が「新丹波黒」より多く、抗酸化作用も高い。

  • キーワード:ダイズ、黒大豆、煮豆、アントシアニン、抗酸化作用
  • 担当:九州沖縄農研・作物機能開発部・大豆育種研究室
  • 連絡先:電話096-242-7740、電子メール wkynndk@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・畑作
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

大豆の作付面積の拡大に伴い特色のある大豆による「売れる大豆づくり」に取り組む産地が多くなってきている。特色のある大豆として黒大豆も注目されている が、これまで暖地向けの黒大豆品種は育成されておらず、丹波黒系の大豆や在来の黒大豆品種が利用されてきた。しかし、丹波黒系では既存の産地との競合があ り、また、在来品種では明瞭な品種として確立されていないことなど、地域特産にするには難しい状況にあった。
  そこで、暖地に適した黒大豆新品種を育成し、黒大豆の産地作りに活用し、また、九州産の黒大豆の製品開発に結びつける。

成果の内容・特徴

  • 昭和63年に九州農業試験場(現九州沖縄農業研究センター)において「坂上2号」を母親、「新丹波黒」を父親として交配し育成された大粒黒大豆系統である。
  • 成熟期は「新丹波黒」とほぼ同じで「極晩」、生態型は「秋大豆型」に区分される(表1)。
  • 煮豆加工での製品歩留まりが「丹波黒」より高く、外観品質も良好である(表2)。
  • 蒸煮大豆および大豆煮汁は「新丹波黒」よりアントシアニン含有量が多く、抗酸化作用も高い(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 福岡県において契約栽培を中心に普及を図る。
  • 粒大は「新丹波黒」よりやや小さく、粒形は扁球である。
  • 早播き栽培は、過繁茂となり収量が低下するので避ける。

具体的データ

表1 新品種候補だいず「九州134号」の特性概要

 

表2 煮豆加工適性

 

表3 アントシアニン含有量、総ポリフェノール含有量と抗酸化作用

 

その他

  • 研究課題名:だいずの暖地向き良質多収品種の育成
  • 課題ID:07-02-05-01-01-03
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1988~2003年度
  • 研究担当者:中澤芳則、高橋将一、小松邦彦、松永亮一、羽鹿牧太、酒井真次、異議田和典