キャベツの形状や大きさに適応性の高い機械収穫技術
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要約
ベルトをV字型に組み合わせた搬送機構を特徴とする一斉収穫・1条用のキャベツ収穫機は、キャベツの形や大きさへの適応性が高いためキャベツに損傷を与えることが少なく生食用に使用でき、2~3人の組作業で調製能力に応じた作業速度が選択できる。
- キーワード:キャベツ、生食用、搬送、野菜収穫機
- 担当:九州沖縄農研・水田作研究部・機械化研究室
- 連絡先:電話 0942-52-3101、電子メール mseki@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・農業機械・土木
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
筑後平野では、暖地の立地特性を活かした水田裏作としてキャベツ等の導入が見られる。現在、育苗・移植・管理などについてはほぼ機械化が図られているが、
収穫に関する機械の導入は進んでいない。そこで、家族労働を主体とした収穫作業体系を対象に、重労働感の強い、茎の切断・切断球拾い、収穫物の運搬につい
ては機械で、調製・箱詰めは人力により作業機上で行うキャベツ機械収穫技術の開発を行う。
成果の内容・特徴
- 収穫機は自走式、乗用型である(図1、図2、表1)。
- 収穫作業手順は、まず往復振動刃により外葉ごとキャベツの茎部を切断、V字型に組み合わせた1対のシリコンゴム製ベルトの引上げ搬送により収穫機上へ挟持搬送する。次に搬送されたキャベツは機体後方で人手により調製作業が行われ、コンテナまたは段ボール箱に詰められる(図1、図2、表1)。
- キャベツは70度の傾斜角で引上げ搬送できるため、オペレータの斜め前方直下でキャベツの切断が行われることから収穫位置合わせが容易であり、収穫機構に制御装置を必要としないため機構が単純である。(図1、表1)。
- 本機の引上げ搬送機構は、ひょうたん型ロールやシリコンゴム製の幅広い搬送ベルト、組合せバネによる搬送ベルトの開閉を利用する。そのため、キャベツの形状・結球重への適応範囲が広く、未熟または過熟したキャベツも収穫できる(図1、表2)。
- キャベツに与える搬送時の圧力は最大0.9Mpaと低いので損傷が発生しにくいこと、キャベツは外葉ごと収穫され調製作業を人手作業で行うため、生食用キャベツ機械収穫技術として利用できる。
- 作業速度0.28m/sまでの収穫作業が可能であるが、同時作業の調製・箱詰めを考慮すると、0.10m/s以下の作業速度が望ましい。
成果の活用面・留意点
- キャベツの切断高さ位置の追随制御装置を装備していないが、目視によりキャベツ切断位置を合わせることができる。
具体的データ
その他
- 研究課題名:暖地汎用化水田における露地野菜の収穫システムの開発
- 課題ID:07-02-10-01-03-02
- 予算区分:運営交付金
- 研究期間:1997~2000~2002年度
- 研究担当者:関正裕、高橋仁康、田坂幸平、西田初生
- 発表論文等:関ら(2000) 結球野菜・葉物野菜等の搬送装置、特許第3099061号