大豆播種後の降雨による出芽不良を軽減する山形鎮圧方式
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要約
慣行の大豆播種機の鎮圧輪を山形鎮圧輪に換えることで、降雨による大豆の出芽不良を軽減する。播種後3~5日間で100mm以上の激しい降雨があった場合
および、その後にクラスト(土膜)を形成した場合に、出芽率の低下をおよそ10~20ポイント軽減できる。
- キーワード:ダイズ、出芽不良、クラスト、適期播種
- 担当:九州沖縄農研・水田作研究部・機械化研究室
- 連絡先:電話 0942-52-3101、電子メール ktaka@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・農業機械・土木
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
九州北部の大豆播種適期は梅雨末期であり、播種後の激しい降雨で湿害となったり、その後の急激な乾燥でクラストを形成し、出芽不良となる場合が多い。山形鎮圧輪を使用することで、このような場合の出芽率低下を軽減することを目的としている。
成果の内容・特徴
- 山形鎮圧輪は慣行の大豆播種機の鎮圧輪と簡単に交換できる。(図1)
- 山形鎮圧輪は二つの円錐の頂点を合わせた鼓型の形状であり、回転しながら鎮圧し種子列上部には尾根部を、その左右には谷部を形成する。(図1、図2)
- 激しい降雨時は尾根部の比較的細かい土壌が谷部へと流出する。表面積が大きいこともあり、尾根部が速やかに乾燥することが観察される。(図2、図3)
- 降雨後の乾燥時に尾根部へひび割れが生じるため種子上のクラスト形成を阻害し、割れ目から大豆の出芽が観察される。(図3)
- 播種後3~5日の内に100mm以上の激しい降雨があった事例で出芽率の向上が認められる。(表1)
成果の活用面・留意点
- 湿害の起こりやすい圃場や湿害が予想される圃場に使用できる。
- 乾燥条件では出芽率が低下する場合がある
- アップカットロータリによる麦稈すき込み一工程播種同時作溝技術と組み合わせることで、梅雨の合間に速やかに播種し、天候への適応性の高い大豆播種が可能となる。
- 現在、大豆播種機メーカーが市販化を検討中である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:麦稈すき込み一工程耐候型大豆精密播種技術の開発
- 課題ID:07-02-10-*-04-02
- 予算区分:21世紀プロ(2系)、ブランドニッポン(2系)
- 研究期間:2002年度、2003~2005年度
- 研究担当者:高橋仁康、関正裕、田坂幸平
- 発表論文等:
1)高橋ら(2002) 山形鎮圧方法及び装置、特願2002-326508
2)高橋ら(2003) 耐天候型大豆播種技術の開発、九州農業研究、65、152