パインアップル未利用部分の総合利用

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要約

パインアップルの過熟果は機能性果実酢、葉はポリフェノール類抽出原料、果芯・果皮は機能性食物繊維としての総合利用が可能である。

  • キーワード:パインアップル、未利用部分、過熟果、果実酢、ポリフェノール、食物繊維
  • 担当:九州沖縄農研・畑作研究部・畑作物変換利用研究室
  • 連絡先:電話0986-22-1506、電子メールmak825@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・畑作、流通加工
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

沖縄地域の重要な作物であるパインアップルの搾汁残渣は技術開発の遅れから、必ずしも完全利用化が図られていない。パインアップル未利用部分の有効利用可能性について検討し、総合利用法を提案する。

成果の内容・特徴

  • パインアップル過熟果、茎葉さらに果実の加工残渣(果芯および果皮)の総合利用法を図1に示す。
  • 過熟果の搾汁液から製造した果実酢は、パインアップルの微香がありポリフェノール含量及びラジカル消去能も市販の酢に比べて遜色ない(図2)。
  • 果芯、果皮及び茎凍結乾燥粉末は5種のビフィズス菌の増殖を促進する。特に果芯は強い活性を示す。果芯および果皮は整腸作用など機能性食物繊維として利用可能である(表1)。
  • パインアップル葉は3,4,5-トリカフェオイルキナ酸(約6.4 mg/100 g凍結乾燥粉末)を含有している。この成分は、抗エイズ活性等の各種薬理活性がインビトロで証明されており、薬や機能性成分素材などの原料としての利用が期待できる(表2)。
  • 葉からポリフェノールを抽出した後の残渣はパルプを混入することにより生分解性資材(パインアップル葉の抽出残渣は60%まで混入可)が製造可能である(データ省略)。

成果の活用面・留意点

  • パインアップル未利用部分の有効利用に関する資料として活用できる。
  • 過熟果から果実酢を製造する際、適切な酢酸菌を選択する必要がある。
  • 果芯や果皮の凍結乾燥粉末はブロメリン(蛋白質分解酵素)が含まれており、消化酵素含有食物繊維として利用可能である反面、蛋白質食品に混入して利用する場合は、酵素の失活処理が必要である。
  • 当総合利用法は実験室レベルでの提案であり、収益性などについてはパイロットプラントによる実用化に向けた研究が必要である。

具体的データ

図1 パインアップルの総合利用

 

図2 パインアップル酢のポリフェノール含量とラジカル消去能

 

表1 パインアップル各部位のビフィズス菌増殖作用

 

表2 パインアップル葉の3,4,5-トリカフェオイルキナ酸含量

 

その他

  • 研究課題名:パインアップル副産物等の特性解明と利用可能性評価
  • 課題ID:07-09-01-01-03-03
  • 予算区分:亜熱帯ウリ科
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:吉元 誠、石黒浩二、倉田理恵、須田郁夫、目取眞要(沖縄農試・名護支場)、竹内誠人(沖縄農試・名護支場)、比嘉正和(沖縄農試・名護支場)、仲宗根福則(沖縄農試・名護支場)、井上裕嗣(沖縄農試・名護支場)
  • 発表論文等:
    1) 吉元誠 (2002)「沖縄の食材を科学するシンポジウム」講演集:25-30.
    2) 吉元誠ら(2003)第66回九州農業研究発表会講演要旨集:p23.