南向き斜め誘引栽培と収穫前数日の晴天によるニガウリのビタミンC含量の増加

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要約

茎葉に日光がよく当たるように誘引面を南に向けて栽培することにより、ニガウリのビタミンC含量は1割程度高まる。ビタミンC含量は天候によって大きく変動し、晴天が続いた後は高ビタミンC果実を収穫することができる。

  • キーワード:ニガウリ、ビタミンC、誘引、天候、日照時間
  • 担当:九州農研・野菜花き研究部・施設野菜栽培研究室
  • 連絡先:電話0942-43-8271、電子メールhyamagu@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・野菜花き、野菜茶業・野菜栽培生理
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

ニガウリに含まれる抗酸化成分の主成分はビタミンCである。ビタミンC含量がさらに高くなる栽培方法を確立することによ り、ニガウリの高品質ブランド化が可能となると考えられる。そこで、南向き斜め誘引栽培による受光体勢の改善がビタミンC含量に与える影響とビタミンC含 量の天候による変動を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • ネットを用いたニガウリの立体栽培において、東西に作畝し茎葉に日光がよく当たるように、誘引面を南にむけて栽培することにより、慣行の垂直誘引と比較してビタミンC含量が一割程度高まる(図1)。
  • ニガウリのビタミンC含量は、収穫日によって40mg/100gから120mg/100gと大きく変動する。その変動には収穫前数日間の天候が大きく関係し、日照時間の長い日が続くにつれて収穫果のビタミンC含量は増加し、短い日が続くにつれて減少する(図2)。果実糖度(Brix%)もビタミンC含量と同様に天候によって変動するが、その影響度は小さい(図2)。
  • 肥大中の果実を遮光してもビタミンC含量は変わらない(図3)。このことから南向き斜め誘引および晴天によるビタミンC含量の増加は、果実に光がよく当たることが直接的な原因ではない。高ビタミンC栽培の観点からは、積極的に果実に光をあてる必要はない。

成果の活用面・留意点

  • 斜め誘引によるビタミンC含量の増加は東西畝に適用できる。誘引高さ2.0mにした支柱の上部を北側に約0.8mずらして傾斜させる。畦間は約1.4mであり、作業性には問題ない。
  • 南向き斜め誘引の効果は太陽高度の高い夏期に効果が大きく、日長が短くなると小さくなる。
  • 品種‘群星’を用いた場合の結果である。

具体的データ

図1 南向き斜め誘引が総ビタミンC含量に与える影響(危険率5%で有意)

 

図2 総ビタミンC含量・果実糖度(Brix%)の変化と日照時間の関係

 

図3 肥大中の果実への遮光が総ビタミンC含量に与える影響(危険率5%で有意差なし)

 

その他

  • 研究課題名:品質成分の変動解明によるウリ科野菜の高品質化技術の開発
  • 課題ID:07-09-01-01-02-03.
  • 予算区分:沖縄対応特研(機能性)
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:山口博隆、荒木陽一