脱芒による大麦・千粒重の低下尺度

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要約

阿蘇外輪山の切れ目ではほぼ毎年,大麦の脱芒が発生する。脱芒が出穂後30日以内に発生すると,千粒重が低下する。千粒重の低下尺度を用いることにより,脱芒が発生した時点で,千粒重の低下を推定することができる。

  • キーワード:2条オオムギ,脱芒,千粒重,まつぼり風
  • 担当:九州沖縄農研・環境資源研究部・気象特性研究室
  • 連絡先:電話096-242-7766,電子メールm0200362@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・生産環境(農業気象)
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

阿蘇山の西に外輪山の切れ目があり,この切れ目一帯で「まつぼり風」と呼ばれる強風が吹く。大麦の出穂後に吹く「まつぼり風」は脱芒をもたらし,子実肥 大を低下させることが知られている。しかし,脱芒によって千粒重がどの程度低下するかは明らかにされておらず,JAや普及所からは減収量を推定する尺度が 求められていた。そこで,現地調査および人為的な脱芒処理により,脱芒にともなう大麦の千粒重低下を推定する式を作成する。

成果の内容・特徴

  • 図1は「まつぼり風」によって芒が取れた大麦である。外輪山の切れ目一帯ではほぼ毎年,大麦の脱芒が発生する。
  • 大麦の脱芒は東経130°54’以西で発生する(図2)。
  • 図3に脱芒が発生した日と千粒重の関係を示す。脱芒が出穂後30日以内に発生した場合,千粒重は低下する。出穂直後に脱芒が発生した場合の千粒重の低下割合は2割である。一方,脱芒が出穂から30日以降に発生した場合,千粒重は低下しない。
  • 脱芒による千粒重の低下割合は,脱芒が発生した時期(出穂後の日数)によって以下の式で推定できる。ただし,この式は脱芒の発生が出穂後30日以内の場合に適用可能である。
    Y/Y’=0.8+0.006・X
    ここで,Yは芒が取れた大麦の千粒重,Y’は芒がある大麦の千粒重,Xは芒が取れた日を出穂後の日数で表した値である。
  • 現地調査を行った4年間の内,1999年と2002年で出穂後30日以内に脱芒が発生した(図3の矢印)。1999年は出穂後17日目に脱芒が発生し,千粒重の低下率は9.8%と推定され,実際の千粒重の低下は10.1%であった。また,2002年は出穂後24日目に脱芒が発生し,千粒重の低下率は5.6%と推定され,実際の千粒重の低下は4.6%であった。

成果の活用面・留意点

  • 脱芒が発生した時点で千粒重の低下を推定することができる。
  • 対象品種は2条大麦のミサトゴールデンである。

具体的データ

図1.芒が取れた大麦(1999年)

 

図2.脱芒の発生分布

 

図3.脱芒の発生時期と千粒重の関係

 

その他

  • 研究課題名:盆地霧の実態解明と利用技術の開発
  • 課題ID:07-06-03-*-05-03
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:黒瀬義孝,大場和彦,丸山篤志
  • 発表論文等:
    1) 黒瀬・大場・丸山・真木 (2002) 農業気象 58(2):103-113.
    2) 黒瀬・大場・丸山・真木 (2002) 農業気象 58(3):147-156.