サツマイモの塊根形成過程で発現量の変化する遺伝子

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要約

サツマイモの遺伝子SRF1~SRF10は塊根の形成過程で発現量が変化する。SRF1~SRF9は既知の遺伝子と相同性が認められる。

  • キーワード:サツマイモ、塊根形成、遺伝子、発現量
  • 担当:九州沖縄農研・畑作研究部・遺伝資源利用研究室
  • 連絡先:電話0986-22-1506、電子メールmtanaka@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・植物バイテク、畑作
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

サツマイモの収量性は塊根のシンク能に依存することが知られており、その形成機構を分子レベルで理解することは重要であ る。しかしながら、これまで塊根形成に関する分子レベルでの知見はほとんど得られていない。そこで、塊根形成の分子レベルでの基礎的知見を得ることを目的 として、塊根形成過程で発現量の変化する遺伝子を同定した。

成果の内容・特徴

  • サツマイモ(品種高系14号)の不定根を根径にもとづいて細根、太根、塊根に分級し、簡易ディファレンシャルディスプレイに より発現量に差のあるcDNA断片を検索した。RT-PCR法により発現レベルに差が認められた10個のcDNA断片に対応する遺伝子を SRF1~SRF10 (SRF:Storage Root Formation)と命名した(図1)。
  • SRF1~SRF10は塊根の形成過程で発現量が変化する。このうち、SRF1、SRF2、SRF3、SRF5、SRF6、SRF7、SRF9は塊根形成に伴って発現量が増加し、SRF4、SRF8、SRF10は発現量が減少する(図1)。
  • SRF1~SRF9はアミノ酸レベルで既知の遺伝子との相同性が認められる。SRF10はアミノ酸レベル、核酸レベルともに既知の遺伝子との有意な相同性が認められず、新規遺伝子である可能性が高い(表1)。

成果の活用面・留意点

  • サツマイモ塊根に関する生理・遺伝学的な研究のための基礎資料として利用できる。
  • 塊根を着生した植物体の細根と、塊根を着生していない植物体の細根との間には組織形態および遺伝子発現に差がないことを確認しており、本成果における遺伝子発現の変化は塊根形成過程における組織形態の変化と密接に関連する。

具体的データ

図1 RT-PCR法によるSRF1~SRF10の発現量の解析。

 

表1 BLASTプログラムによるSRF1~SRF10の相同性解析

 

その他

  • 研究課題名:甘しょの塊根形成の生理・遺伝学的機構解明
  • 課題ID:07-07-02-*-05-03
  • 予算区分:形態・生理
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:田中勝、中澤芳則、高畑康浩、中谷誠(作物研)
  • 発表論文等:
    1)DDBJ Accession Nos. AB125880 - AB125889
    2)Tanaka et al. (2001) Plant Cell Physiol. 42 (Supplemnt), 34
    3)Tanaka et al. (2003) Plant Biology 2003, abstract, 112