九州で発生するトウモロコシ南方さび病の抵抗性に関与する遺伝子座
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要約
九州で発生するトウモロコシ南方さび病に対して抵抗性極強の自殖系統IM-150は、優性の抵抗性遺伝子を持つ。この遺伝子は第10染色体のSSRマーカーphi052 とphi063 の間に位置する。
- キーワード:トウモロコシ、南方さび病、DNAマーカー、抵抗性、遺伝子、飼料作物育種
- 担当:九州沖縄農研・畑作研究部・とうもろこし育種研究室
- 連絡先:電話0986-22-1506、電子メールegu@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・畜産草地(草地飼料作)、畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
九州におけるトウモロコシ晩播栽培で発生する南方さび病は、収量と品質を低下させるため、晩播作での安定多収には抵抗性品
種の利用が必須である。トウモロコシの南方さび病には、12のレースと11の抵抗性遺伝子座が知られているが、九州で発生するレースおよび育種材料の持つ
抵抗性遺伝子については未だ解明されていない。一方、育成自殖系統IM-150は安定した抵抗性を示し、抵抗性育種への利用が期待できる。そこで、IM-
150の抵抗性の遺伝様式と関与する遺伝子座を明らかにし、抵抗性育種での効率的利用を図る。
成果の内容・特徴
- 育成自殖系統で南方さび病抵抗性極強のIM-150と極弱のMi44に由来するF2集団における南方さび病発生程度の圃場評価の結果(図1)を、評点1.0-2.0を抵抗性、2.1-9.0を罹病性とすると、抵抗性:罹病性=3:1と一致する(表1)。これは、IM-150の抵抗性が優性の1遺伝子によることを示す。
- IM-150の南方さび病抵抗性の遺伝子座は第10染色体上のSSRマーカーphi052 とphi063 の間に位置する(図2)。
成果の活用面・留意点
- SSRマーカーphi052 、phi063 は、IM-150の南方さび病抵抗性遺伝子を含む領域を他の系統へ導入することに利用できる。
- 推定された遺伝子座の近傍にあることが報告されている抵抗性主働遺伝子Rpp9 との関係は明らかではない。Rpp9 は、南方さび病菌のレース PP.9 に対応するが、九州で発生する南方さび病のレースについては解明されていない。
具体的データ
その他
- 研究課題名:晩播向き飼料用トウモロコシの南方さび病抵抗性および耐倒伏性育種法の開発
- 課題ID:07-04-01-01-04-03
- 予算区分:交付金(共同研究)
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:江口研太郎、才宏偉(日本草地畜産種子協会・飼料作物研究所)、澤井晃、村木正則
- 発表論文等:江口・才(2002)、日草誌 48(別):346-347