ハスモンヨトウ抵抗性ダイズ系統九州143号の圃場における抵抗性
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要約
ハスモンヨトウ抵抗性をめざして育成された九州143号は,圃場レベルでも幼虫の発生が少なく十分な抵抗性を示す。抵抗性のメカニズムは,これまで知られていた幼虫に対する抗生性のほかに,成虫の産卵非選好性が関与している。
- キーワード:ダイズ、九州143号、抵抗性、ハスモンヨトウ
- 担当:九州沖縄農研・地域基盤研究部・害虫生態制御研究室
- 連絡先:電話096-242-7732、電子メ-ルtwada@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業、共通基盤
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
九州のダイズ生産の重要な阻害要因の一つに虫害があり、子実を加害するカメムシ類とともに,大豆葉を加害するハスモンヨト
ウの被害が大きい。九州143号は主として室内実験選抜によってハスモンヨトウ抵抗性として育成された小粒多莢の系統で、普及品種のフクユタカと熟期がほ
ぼ等しい。本系統を圃場に栽培し,ハスモンヨトウに対する抵抗性程度を普及品種と比較することにより、ハスモンヨトウ抵抗性の実用性を検証する。
成果の内容・特徴
- 調査を行った4年間を通じて、九州143号はハスモンヨトウ幼虫の発生ピーク密度は標準品種のフクユタカに比べて1/3~1/6程度と低く、圃場レベルでも同害虫に十分な抵抗性を示す(図1、図2)。
- 雌の産卵数を表す指標と考えられる孵化幼虫集団数も,九州143号ではフクユタカに比べて著しく少なく、抵抗性のメカニズムとして、既報の幼虫に対する抗生作用(九州農業研究成果情報14号)の他に、産卵非選好性の存在が示唆される(図3、図4)。
成果の活用面・留意点
- 新品種育種の参考となる。
- 九州143号は立枯性病害に弱く、転換畑では普及できない。
具体的データ
その他
- 研究課題名:耐虫性品種および晩期栽培等による害虫被害軽減の実証
- 課題ID:07-08-03-*-09-02
- 予算区分:交付金「持続的農業(IPM)」
- 研究期間:2002~2003年度
- 研究担当者:和田節、遠藤信幸、高橋将一、小松邦彦,中澤芳則,松永亮一,水谷信夫
- 発表論文等:1) 遠藤ら(2002)九病虫研会報 48:68-71.