カンショ品種のサツマイモネコブセンチュウレースに対する抵抗性差異
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要約
カンショ品種のサツマイモネコブセンチュウに対する抵抗性はレース(品種への寄生性が異なる線虫群)間で異なり、主要な3レース、SP1、SP2、SP4
に抵抗性弱、SP1のみに抵抗性強、SP1とSP2に抵抗性強、3レースに抵抗性強、その他の5品種群に分類できる。
- キーワード:サツマイモネコブセンチュウ、レース、カンショ、線虫抵抗性
- 担当:九州沖縄農研・地域基盤研究部・線虫制御研究室、畑作研究部・サツマイモ育種研究室
- 連絡先:電話096-242-7734 電子メールsanoz@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・病害虫
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
サツマイモネコブセンチュウはカンショの重要な有害線虫である。この線虫には、カンショに対する寄生性が異なる7つのレー
スが発生している。これらのうち九州中南部、沖縄県のカンショ産地に分布する主要なレースは、SP1、SP2およびSP4である(九州沖縄農業研究成果情
報17号下巻)。抵抗性品種の効率的育成、適切な栽培利用等に役立てるために、主要なカンショ品種のこれらのレースに対する抵抗性を明らかにする。
成果の内容・特徴
- サツマイモネコブセンチュウ3レースに抵抗性弱の品種:アヤムラサキ、ベニアズマ、ベニマサリ、春こがね、ヘルシーレッド、コガネセンガン、高系14号、農林1号、シモン1号、サツマスターチ、サツマヒカリ。
- レースSP1(熊本県の優占レース)のみに抵抗性強の品種:アヤコマチ、紅赤、フサベニ、コナホマレ、農林2号、シロユタカ。
- レースSP1およびSP2(宮崎県と鹿児島県における優占レース)に抵抗性強の品種:備瀬、ベニオトメ、エレガントサマー、ハイスターチ、宮農36号、種子島紫7。
- レースSP1、SP2およびSP4(沖縄県と種子島に広く分布)に抵抗性強の品種:ダイチノユメ、ハマコマチ、ジェイレッド、ミナミユタカ、ジョイホワイト、農林3号、サニーレッド、タマオトメ。
- その他上記4群に分類できない品種:ベニハヤト、ムラサキマサリ、タマユタカ。
成果の活用面・留意点
- 抵抗性品種の適切な栽培および線虫害回避のための作付体系策定に利用できる。
- 抵抗性品種の効率的育成のための交配母本選定や抵抗性の遺伝解析に利用できる。
具体的データ
その他
- 研究課題名:主要線虫のレ-ス分布とカンショの線虫抵抗性に基づく環境保全型畑輪作体系の開発
- 課題ID:07-08-03-01-11-02
- 予算区分:21世紀プロ4系
- 研究期間:2002年度
- 研究担当者:佐野善一・岩堀英晶・立石靖・甲斐由美
- 発表論文等:1) 佐野ら(2002)日線虫誌32(2):77-86.