カンショ葉身部にはルテインが豊富に含まれる

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要約

カンショの葉身部には、眼病予防に有効と言われる成分のルテインが多量に含まれる。収穫時期により含量は変動し、春から夏季にかけてしだいに減少する。ルテイン含量の高いカンショ葉身部は、β-カロテンも多い。

  • キーワード:サツマイモ、カンショ、葉、ルテイン、眼病予防
  • 担当:九州沖縄農研・畑作研究部・畑作物変換利用研究室、サツマイモ育種研究室
  • 連絡先:電話0986-24-4278、電子メールhenkan@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業、畑作
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

カンショ茎葉部には機能性成分であるポリフェノールが含まれており、その機能性に着目した加工品も商品化されはじめている。一方、カロテンや各種ビタミン類も豊富に含まれており、葉身や葉柄は野菜として利用される。本研究では、眼病予防に有効と言われるルテインに着目し、その含量、収穫時期による変動等を調査する。

成果の内容・特徴

  • カンショ茎葉部におけるルテイン含量は、葉身部で最も高く、葉柄および茎部では低い。葉身部のルテイン含量は、これまでルテイン含量が高いことで知られているホウレンソウより高く、ケール並みである。(表1)。
  • 葉身部におけるルテイン含量は、供試した12系統(品種)の中で、「すいおう」が相対的に高い(図1)。
  • 葉身部のルテイン含量は4月末から8月上旬までしだいに減少し、その後10月末まではほぼ変化しない(図2)。
  • ルテイン含量の高いカンショ葉身部はβ-カロテンも多い(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 加齢黄班変性症の予防には6 mg/日のルテイン摂取が推奨されており(Seddon, J.M. et al. 1994. The Journal of the American Medical Association 272: 1413-1420.)、生のカンショ葉身で約30gに相当する。
  • ルテイン含量の時期別の変動は繰返し収穫による成績である。
  • 廃棄されているカンショ茎葉を成分抽出用の素材として利用できる。
  • 部位や時期により含量が異なるので、利用部位や収穫時期に留意する。

具体的データ

表1 ルテインのカンショ茎葉部位別含量と他 の野菜との含量比較 図1 カンショ葉身部のルテイン含量の品種間差異 苗床における直播栽培(2004 年)

 

図2 収穫時期によるルテイン含量の推移 苗床直播栽培(2004 年) 図3 ルテインとβ-カロテン含量の相関関係

その他

  • 研究課題名:サツマイモ二次代謝産物の新規機能性の探索と蓄積機構の解明
  • 課題ID:07-03-04-01-31-04
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2004~2006年度
  • 研究担当者:石黒浩二、吉元 誠、吉永 優