茶大豆種皮プロアントシアニジン含有画分のラット血糖値上昇抑制作用
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
茶大豆種皮から調製した単量体~7量体のプロアントシアニジンを含む画分は、抗酸化活性、α-グルコシダーゼ阻害活性、α-アミラーゼ阻害活性を示す。またその画分をラットに投与すると糖負荷による血糖値・血中インスリン濃度の上昇を抑制できる。
- キーワード:有色大豆、プロアントシアニジン、血糖値上昇抑制、血中インスリン抑制
- 担当:九州沖縄農研・作物機能開発部・食品機能開発研究室
- 連絡先:電話096-242-7742、電子メールtomooki@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・流通加工、作物・夏畑作物、食品
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
黒大豆・茶大豆など有色種皮大豆は、古来から薬効があるとして珍重され、近年では健康食品として消費者・実需者の人気を集めている。しかし、効能を示す成分は十分に明らかにされていない。そこで、茶大豆種皮からプロアントシアニジン含有画分を調製し、成分特性・機能特性を明らかにするとともに、ラットに経口投与した場合の血糖値上昇抑制作用を確認する。
成果の内容・特徴
- 茶大豆(秋田在来)種皮の70%アセトン/0.5%酢酸抽出液からのSephadex LH-20カラムメタノール溶出画分(以下、メタノール溶出画分と略す)および70%アセトン溶出画分にはプロアントシアニジンが含まれている(図1)。これら溶出画分の各々のフラクションは、DPPHラジカル消去活性(抗酸化活性の強弱を示す指標)およびα-グルコシダーゼ阻害活性(マルトース→グルコースの阻害程度を示す指標。糖吸収阻害と関連する)を示すが、それらの活性はプロアントシアニジン濃度に比例して高まる(図1)。
- メタノール溶出画分と70%アセトン溶出画分に回収されるプロアントシアニジン量はモル比で20:3と、メタノール溶出画分に多い(図1)。
- そのメタノール溶出画分には低重合度プロアントシアニジン(単量体(カテキン)~7量体)が含まれている(図2)。またこの画分はα-グルコシダーゼ阻害活性に加え、α-アミラーゼ阻害活性(デンプンの加水分解の阻害程度を示す指標)を示す(表1)。
- メタノール溶出画分をラットに経口投与すると、マルトース負荷による血糖値および血中インスリン濃度の急激な上昇を抑制することができる(図3左)。可溶性デンプン負荷の場合には、血糖値の上昇抑制作用は弱いが、血中インスリン濃度の急激な上昇は抑制される(図3)。
成果の活用面・留意点
- 本成果は実験動物レベルでの結果である。ヒト介入試験を実施し、茶大豆種皮プロアントシアニジン含有食品による血糖値上昇抑制作用を確かめる必要がある。
- 茶大豆種皮に含まれるプロアントシアニジン含有量は品種・系統により異なる。新品種・系統の場合には、プロアントシアニジン含有量を調べる必要がある。
- 表1の参考値(Matsui T. et al.(2001):J. Agric. Food Chem., 49(4), 1948-1951より引用)
α-グルコシダーゼ阻害活性(mg/mL):紫サツマイモ抽出物(0.36)、緑茶抽出物(0.23)
α-アミラーゼ阻害活性(μg/mL):紫サツマイモ抽出物(610)
具体的データ




その他
- 研究課題名:有色種皮大豆の機能性解明と利用技術開発
- 課題ID:07-07-03-*-23-04
- 予算区分:ブラニチ2系
- 研究期間:2003~2004年度
- 研究担当者:沖 智之、須田郁夫、菅原晃美、西場洋一、増田真美、小林美緒、永井沙樹、竹市美和子
- 発表論文等:小林美緒ら (2003)九州農業研究、65、p54