稲発酵粗飼料への混入によりサイレージ品質を低下させる雑草
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要約
クサネム、ホソバヒメミソハギ、チョウジタデは、稲発酵粗飼料(イネWCS)への混入により栄養価(TDN含量)を大きく低下させ
る。ついでヒレタゴボウ、タマガヤツリ、タカサブロウ、コナギ、ヒメタイヌビエの混入が栄養価を低下させる。イボクサ、タウコギは、イネWCSへの混入により発酵品質(V-SCORE)を著しく低下させる。
- キーワード:飼料イネ、雑草、栄養価、発酵品質、乾物率
- 担当:九州沖縄農研・水田作研究部・雑草制御研究室、畜産飼料作研究部・飼料生産研究室
- 連絡先:電話0942-52-0675、電子メールkoarai@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・水田作、畜産草地、共通基盤・雑草
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
省力・低コスト化の必要な飼料イネ栽培では、食用イネ以上の簡便な除草体系や除草剤の使用量の削減が望まれている。食用イネ栽培での雑草発生は米の減収に直結するが、飼料イネ栽培では稲発酵粗飼料(イネWCS)に混入した雑草は飼料として活用されるため、雑草管理が粗放な水田においてイネWCS内に雑草を混入して収穫する場合が散見される。しかし、イネWCSへの雑草の混入率が大きくなった場合、品質の低下が懸念される。そこで、イ
ネWCSに混入した雑草がサイレージ品質に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 開花期から成熟期の生育ステージの雑草は、草種によって乾物率や飼料成分含量が異なる(表1)。
主要水田雑草のうち、10%(生重比)の混入によってイネWCSのTDN含量を5ポイント以上低下させる雑草は、クサネム、ホソバヒメミソハギ、チョウジ
タデ、30%(生重比)の混入によって5ポイント以上低下させる雑草は、ヒレタゴボウ、タマガヤツリ、タカサブロウ、コナギ、ヒメタイヌビエである(表2)。
- イネWCSの発酵品質(V-SCORE)は、混入した雑草種にかかわらず、作成したサイレージの乾物率との間にロジスチックな曲線で表される有意な相関関係が認められる(図1)。イネWCSの乾物率が35%以下となる場合,V-SCOREが急激に低下する。
- 主要水田雑草のうち、30%(生重比)の混入によってイネWCSのV-SCOREが著しく低下する草種は、イボクサ、タウコギである(表3)。
成果の活用面・留意点
- 飼料イネ栽培にあたってはイネWCSへの雑草の混入を避ける栽培・収穫管理に努める。
- 飼料イネ栽培における雑草防除の基礎的な知見となる。
- 毒性および嗜好性への影響については未検討である。
- 雑草の生育ステージが異なる場合、イネWCSの栄養価は変動する可能性がある。
- サイレージは、2003年10月1日にパウチ法によって作成した。雑草は、開花期から成熟期の個体を供試した。
具体的データ




その他
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研究課題名:暖地飼料イネ栽培における除草剤を使用しない雑草管理技術の開発
- 課題ID:07-02-02-01-22-05
- 予算区分:ブラニチ3系
- 研究期間:2003∼2005年度
- 研究担当者:小荒井晃、住吉正、大段秀記、服部育男、佐藤健次、加藤直樹、小林良次