イネ科一年生雑草アゼガヤの初期生育の特徴

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要約

アゼガヤの葉齢進展は5月に発生した個体に比べて6月及び7月に発生した個体で速く、同じ葉位の葉身長は5月∼7月の発生では遅い時期に発生した個体ほど長く、草丈が高くなる。また、6月に発生したヒメタイヌビエと比べると、同じ葉位の葉身長はアゼガヤの方が短く、草丈が同じ場合にはアゼガヤの方が葉齢が進んでいる。

  • キーワード:アゼガヤ、雑草、初期生育、積算温度
  • 担当:九州沖縄農研・水田作研究部・雑草制御研究室
  • 連絡先:電話0942-52-0675、電子メールtadashis@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・水田作、共通基盤・雑草
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

アゼガヤ(Leptochloa chinensis Nees)はイネ科の一年生雑草で、これまでに乾田直播や湛水直播など直播水稲において発生が認められ、ノビエを対象とした除草剤シハロホップブチルの処理によって同時に防除されてきた。しかし最近になって、アゼガヤが移植水稲において発生・残存する事例が多く認められ、新たな防除法の開発が必要となっている。移植水稲におけるアゼガヤの発生生態や効果的防除法に関してはこれまで未検討であるため、除草剤による防除の指標として重要な初期の形態について、同じイネ科の水田主要雑草ノビエ(ヒメタイヌビエ)との比較において明らかにする。

成果の内容・特徴

  • アゼガヤの葉齢進展は5月に発生した個体に比べて6月及び7月に発生した個体で速いが、何れの発生時期においても普通期水稲移植期の6月に発生したヒメタイヌビエよりも速い(図1)。
  • アゼガヤの葉身長及び葉鞘長には発生時期による違いが認められ、5月∼7月の発生では、同じ葉位の葉身長及び葉鞘長 ともに遅い時期に発生した個体ほど長くなる。また、6月に発生したヒメタイヌビエと比較すると、同じ葉位の葉身長及び葉鞘長ともにアゼガヤの方が短かいの が特徴である(図2、表1)。
  • アゼガヤの葉齢と草丈との関係は発生時期によって異なり、同じ葉齢で比較した場合、6月及び7月に発生した個体は5 月に発生した個体よりも草丈が高くなる。また、6月に発生したヒメタイヌビエと比較した場合、同じ草丈の個体では、アゼガヤの方がヒメタイヌビエよりも葉 齢が2葉程度進んでいる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 除草剤等によるアゼガヤの防除法開発、及び水田での防除における基礎知見として用いる。
  • アゼガヤは福岡県小郡市内の水田で採種したものを供試した。アゼガヤには「そう生型」と「ほふく型」の2型が知られるが、供試材料は水田での発生が多いとされる「ほふく型」にあたる。

具体的データ

図1アゼガヤの葉齢進展に及ぼす発生時期の影響

 

表1 アゼガヤ及びヒメタイヌビエの葉位別葉身長と葉鞘長

 

図2  アゼガヤとヒメタイヌビエの形態の比較

 

図3 アゼガヤ及びヒメタイヌビエの葉齢と草丈の関係

 

その他

  • 研究課題名:冬季湛水∼不耕起稲作体系における低コスト管理技術の開発
  • 課題ID:07-02-09-*-08-05
  • 予算区分:高度化事業
  • 研究期間:2005∼2007年度
  • 研究担当者:住吉 正、小荒井晃、大段秀記、保田謙太郎