麦作雑草カラスノエンドウの出芽の特徴と除草剤による効果的防除法
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要約
カラスノエンドウは小麦播種後1ヶ月間で累積出芽本数の約50%しか出芽せず、それ以降も緩慢に出芽し続けるが、播種直後に土壌処理除草剤のジフルフェニカン・トリフルラリン剤あるいはペンディメタリン剤、2月中旬までに茎葉処理除草剤のアイオキシニル剤を体系処理すると効果的に防除できる。
- キーワード:カラスノエンドウ、コムギ、茎葉処理除草剤、土壌処理除草剤、発生消長
- 担当:九州沖縄農研・水田作研究部・雑草制御研究室
- 連絡先:電話0942-52-0675、電子メールohdan@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・水田作、共通基盤・雑草
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
カラスノエンドウはマメ科の越年生雑草で、九州の麦圃での発生が増えている。カラスノエンドウの種子は大型(粒径約3mm)で、収
穫物に混入すると篩による選別が困難なことから問題となっている。しかし、カラスノエンドウの防除に関する知見は少ない。そこで、カラスノエンドウの出芽の特徴および各種除草剤の除草効果を明らかにすることによって、効果的防除法を確立する。
成果の内容・特徴
- カラスノエンドウは、播種直後土壌処理除草剤の除草効果が期待できる麦播種後1ヶ月間で累積出芽本数の約50%しか出芽せず、累積出芽本数の約50%は麦播種後1ヶ月目以降に緩慢に出芽し続ける(図1A)。出芽と播種後の積算気温との関係では、約150℃で出芽が始まり、200℃∼300℃に出芽のピークがあり、それ以降は緩やかに出芽する(図1B)。
- 出芽深度1cmのカラスノエンドウに対する土壌処理除草剤の除草効果は、ジフルフェニカン・トリフルラリン剤とペンディメタリン剤で高く、乾物重を無処理区の18%に抑制する(表1)。
- カラスノエンドウに対する茎葉処理除草剤の除草効果には除草剤間で差が認められ、アイオキシニルは殺草効果を有し、乾物重を無処理区の2∼15%に抑制する(表2)。一方、ピラフルフェンエチルは殺草効果がなく、乾物重は無処理区の95∼100%であり、生育もほとんど抑制しない。(表2)。
- カラスノエンドウ多発圃場(1m²あたり76本発生)において、ペンディメタリン剤の小麦播種直後土壌処理とアイオキシニル剤の2月中旬までの茎葉処理による体系処理で、無処理区の3%以下に抑制でき、効果的な防除が可能である(図2)。
成果の活用面・留意点
- カラスノエンドウの効果的防除のための知見として活用する。
- カラスノエンドウは、九州沖縄農研(福岡県筑後市)の水田から試験年の5月に採集した種子を用いた。
具体的データ




その他
- 研究課題名:暖地の麦作における難防除雑草制御技術の開発
- 課題ID:07-02-03-02-25-05
- 予算区分:ブラニチ1系
- 研究期間:2003∼2005年度
- 研究担当者:大段秀記、住吉 正、小荒井晃