ジャーガル圃場における心土破砕と明渠による圃場排水性改善効果
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要約
ジャーガル圃場において深さ45cm、間隔130cmで格子状に心土破砕を行い、深さ50cmで額縁明渠を施工し、明渠水位を15∼25cmに制御することによって圃場排水性が改善し、土壌含水比が慣行圃場より4∼6%程度低くなる。
- キーワード:重粘土、心土破砕、明渠、排水性改善、サトウキビ
- 担当:九州沖縄農研・畑作研究部・作業システム研究室
- 連絡先:電話0986-24-4277、電子メールkofukami@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・畑作、共通基盤・作業技術
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
沖縄本島中南部地域に分布するジャーガル土壌(Jahgaru
soil)は、重粘土であるため降雨後何日間も機械作業を行えないことが多く、特に雨が多いサトウキビの収穫・植付時期(春植)は機械の作業可能日数の低下が適期作業の妨げとなっている。圃場の排水性改善法としては暗渠の施工が一般的であり過去にこの地域でも実施されたが、目詰まり等によって数年で効果がなくなることが明らかになった。そこで、暗渠を施工せず、心土破砕と額縁明渠を組み合わせた簡易な圃場排水改善技術を開発し、その効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
- ジャーガル圃場において深さ45cm、間隔130cmで格子状に心土破砕を行い、5a当たり深さ50cmの額縁明渠を施工し自動排水ポンプで明渠水位を地表面から15∼25cmに制御することで圃場排水性が改善できる(図1)。
- 改善圃場では、慣行圃場と比べて土壌含水比が4∼6%程度低くなる(表1)。
- 日降雨量185mmにおいて慣行圃場より土壌含水比(深さ20cm)が約6%低く、降雨が4日(総雨量499mm)続いても約5%低い(表1)。
- 圃場面積5aにおいて必要なポンプ容量は150L/min程度である(表1、図2)。
- 明渠の水を排水しない場合、圃場排水性の改善効果は確認できない(図3)。
成果の活用面・留意点
- 本技術は、排水不良のジャーガル圃場における排水性改善の資料として活用できる。
- 圃場近くにポンプと同等の排水能力を持つ排水路を有する場合は明渠を排水路に直接つなぐ方法もある。
- 機械管理作業および降雨等による明渠側壁の崩れの心配がある場合、部分的に疎水材を投入する。
具体的データ




その他
- 研究課題名:明渠等による圃場排水促進技術の開発
- 課題ID:07-03-03-*-15-05
- 予算区分:沖縄広域連携
- 研究期間:2003∼2005年度
- 研究担当者:深見公一郎、杉本光穂、赤地 徹(沖縄農試)、新里良章(沖縄農試)
- 発表論文等:深見他(2005)九州農業研究 第67号 p128