乾物収量が多い飼料用サトウキビ新品種候補系統「KRFo93-1」

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要約

「KRFo93-1」は、日本初の飼料用サトウキビ品種候補系統である。初期生育が旺盛で乾物収量が多い。株の再生が優れ、数年間にわたる多数回の収穫が可能である。

  • キーワード:飼料作物、粗飼料、サトウキビ、乾物収量、多収
  • 担当:九州沖縄農研・作物機能開発部・さとうきび育種研究室、畜産飼料作研究部・飼料生産研究室、環境生理研究室
  • 連絡先:電話0997-25-0100、電子メールyoshifum@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・畑作、九州沖縄農業・畜産草地(草地飼料作)、作物・夏畑作物
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

南西諸島農業の持続的発展には、サトウキビ生産と畜産の振興が重要である。大部分の粗飼料を島外から購入している現状下での南西諸島の畜産業の発展には、粗飼料の増産・自給飼料基盤の強化が必要であるが、飼料作物栽培面積の拡大は一方でサトウキビとの圃場競合に繋がり、新たな問題を生んでいる。その解決には、飼料作物の収量向上が必要であるが、台風や干ばつ・低地力等の影響から、既存の飼料作物では大幅な収量向上は難しい。そこで、自然災害に強く、乾物収量が多い飼料用サトウキビを育成し、粗飼料自給率の向上を図る。

成果の内容・特徴

  • 「KRFo93-1」は、製糖用品種「NCo310」を種子親、分げつが旺盛で株の再生力が優れるが、糖分が低く、細茎で低収量のサトウキビ野生種「Glagah Kloet」(Saccharum spontaneum L.)を花粉親にした種間交配により育成した系統である。
  • 初期伸長が早く、分げつが旺盛であるため、製糖用品種「NCo310」と比較して生草収量、乾物収量が多い(表1)。
  • 株の再生が優れるため、一度の植付けで数年間にわたる多数回の収穫が可能である(表1、図1)。
  • 原料草の粗蛋白質はやや少ないが、その他の栄養性は稲わらやローズグラス(1番草出穂期、生草)と同程度である(表2)。サイレージ調製が可能であり(表3)、生草およびサイレージの嗜好性は良好である(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 鹿児島県熊毛地域にて肉用牛繁殖農家による利用が検討されている。
  • 種子島での栽培にあたっては、病害虫の発生に注意し、黒穂病が発生した場合は、抜き取りを行う。
  • 糖分が低く、繊維分が高いため、製糖用としては利用できない。

具体的データ

表1.KRFo93-1の特性

 

表2.生草の飼料成分(乾物中%

 

表3.サイレージの発酵品質

 

図1.収穫後の萌芽状況

 

その他

  • 研究課題名:さとうきび種属間交雑系統を用いた不良環境に適応性の高い高品質多収飼料生産技術の開発
  • 課題ID:07-07-02-02-28-05
  • 予算区分:交付金、委託プロ(ブラニチ3系)
  • 研究期間:1993∼2005年度
  • 研究担当者:寺島義文、氏原邦博、伊禮 信、境垣内岳雄、福原誠司、松岡 誠、前田秀樹、下田 聡、勝田義満、服部育男、神谷 充、佐藤健次、杉本 明