輪ギクの育種効率を高めるための筒状花数の増加法
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要約
秋ギクの「神馬」では、頂花の筒状花数が側花の2倍程度多く、それらの正常発達率も高い。舌状花を切り取って処理するよりも抜き取るほうが、下位の側花における筒状花の正常発達率は高い。電照打ち切り時期が9月上旬から10月上旬の範囲では、筒状花数への電照打ち切り時期の影響は小さい。
- キーワード:輪ギク、「神馬」、交雑、筒状花、舌状花
- 担当:九州沖縄農研・野菜花き研究部・花き研究室
- 連絡先:電話0942-43-8380、電子メールimajin@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・野菜花き
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
キクの花は、花冠が発達し観賞価値の高い舌状花と、花冠の発達が乏しい筒状花から構成される。舌状花が稔性の低い雌花であるのに対し、筒状花は両性花で雄蕊を持ち花粉を生成し種子の稔性も高いため、育種には主に筒状花が利用される。輪ギクでは舌状花が大半で筒状花が少なく育種効率を低下させているが、筒状花を増加させる方策については知見が少ない。そこで、筒状花を効率良く増加させることを目的として、筒状花数に関与するとされる日
長(季節)及び光合成産物の分配に関係するとみられる舌状花の除去の影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 「神馬」の頂花は、側花に比べ筒状花数が2倍程度多く分化し、それらの正常発達率も高い(図1)。
- 交雑にあたって、舌状花を基部で切り取る方法(慣行)と比較して、発達中の舌状花を抜き取る方法では、下位の側花における筒状花の正常発達率が高まる(図2)。
- 舌状花を抜き取る方法と切り取る方法の作業時間は同程度である(表1)。作業により除去される舌状花の重さは、切り取る方法のほうが大きい。
- 9月2日から10月2日にかけて10日間隔で電照を打ち切った場合、この期間の範囲内では分化した筒状花数ならびに、正常に発達した筒状花数には差はない(図1)。
- 1株の中で、一部の分枝でのみ舌状花の除去を行うと、除去を行わない分枝では筒状花が発育を停止するのに対し、舌状花を除去した分枝では正常に発達した筒状花が得られる(図3)。
成果の活用面・留意点
- 秋ギク「神馬」を用いたデータである。
- 種子の結実数については調査を行っていない。
- 輪ギクの交雑育種を行う場合の基礎的知見として利用できる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:キク等の宿根性切り花における暖地適応性系統の育成
- 課題ID:07-05-03-*-08-05
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2003∼2005年度
- 研究担当者:今村 仁、池田 広
- 発表論文等:今村・池田(2005)九州農業研究67:189