食品加工上重要な国産大豆のイソフラボンとビタミン類含量の変動

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要約

代表的な国産大豆の内容成分を分析すると、栄養・機能性成分の中でイソフラボン含量、ビタミンE組成は、試料間での変動が大きい。一方、ビタミンB1、ビタミンB2含量は比較的安定である。

  • キーワード:ダイズ、イソフラボン、ビタミン
  • 担当:九州沖縄農研・作物機能開発部・食品機能開発研究室
  • 連絡先:電話096-242-7870、電子メールnishiba@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・流通加工、畑作
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

大豆はイソフラボンやビタミン類などの栄養成分や機能性成分を豊富に含む生活習慣病予防食材として実需者・消費者から注目されている。しかし、実需者が大豆を食品原料として利用しようとする場合、分析例の不足や分析法が統一されてないなどの問題があり、栄養成分や機能性成分がどの範囲で変動しているかなどの情報は不足し、閲覧できるデータ集もない。そこで、国内の主要な大豆品種を各地域の大豆試験圃場から入手し、試料調製法・抽出 法・分析手法を同一にし、分析機関・分析者も同一にして、イソフラボン及びビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンEを一斉分析し、それらの変動を調べる。

成果の内容・特徴

  • イソフラボン含量(乾物100g当り)は131.6∼568.7mgの範囲で分布しており、(平均値302.9mg、変動係数40.7%)、供試大豆間で最大4.3倍の差があり大きく変動する(図1)。
  • ビタミンB1含量は0.553∼0.888mg(平均値0.713mg、変動係数13.0%、図1)、ビタミンB2含量は0.205∼0.296mg(平均値0.234mg、変動係数10.3%、図1)であり、供試大豆の含量差はそれぞれ最大で1.6倍、1.4倍と比較的小さい。
  • ビタミンEは総含量よりも、α-Toc∼δ-Tocの同族体組成が大きく変動する。ビタミンEの生物学的効力を表すα-Toc当量は3.4∼13.3mg(平均値5.6mg、変動係数40.5%)であり、供試大豆間で最大3.9倍の差がある(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 大豆の栄養・機能性成分を活かした食品を開発する際の参考データとなる。
  • 北海道立十勝農業試験場(北海道)、東北農研センター(秋田県)、茨城県筑波郡谷和原村、近畿中国四国農研センター(香川県)、九州沖縄農研センター(熊本県)で栽培された20品種・31検体(2003年産)を供試して得た結果である。

具体的データ

図1.各地域より入手した大豆のイソフラボンおよびビタミン類含量の頻度分布

 

その他

  • 研究課題名:有色大豆の機能性解明と利用技術開発
  • 課題ID:07-07-03-02-23-05
  • 予算区分:ブラニチ2系
  • 研究期間:2003∼2005年度
  • 研究担当者:西場洋一、須田郁夫、沖智之、菅原晃美、相澤順子
  • 発表論文等:西場洋一ら(2004)九州農業研究、66、p49