国頭マージの乾燥時の硬化強度と有効水分量に及ぼす有機物資材の影響

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要約

南西諸島の細粒質国頭マージに鶏ふん堆肥、豚ぷん堆肥を多量施用すると、3ヶ月目∼6ヶ月後に乾燥時の土壌硬化を助長する場合がある。これを避けるためには、施用する有機物資材をバガスや牛ふん堆肥とする。

  • キーワード:国頭マージ、有機物資材、硬化強度、土壌管理
  • 担当:州沖縄農研・環境資源研究部・土壌資源利用研究室
  • 連絡先:電話096-242-7764、電子メールkubotera@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

南西諸島の主要な農耕地土壌である国頭マージは、保水性が悪く、乾燥時の硬化性が大きいなど、物理性の面で問題を有する。一般に、土壌物理性の改良には堆肥などの有機物の施用が効果的であるが、南西諸島の土壌の一部では、有機物の施用に伴い硬化性が増大する場合がある。そこで、異なる種類の堆肥を施用した国頭マージの物理性とくに乾燥時の硬化強度と、その経時変化を解析する。

成果の内容・特徴

  • 国頭マージに各種の有機物を10t/10a相当量混和して圃場に埋設し、有機物の分解(図1)に伴う土壌の硬化強度変化を一軸圧縮試験で測定すると、細粒質の土壌(図2左)では混和直後はいずれの有機物も硬化を緩和するが、3ヶ月∼6ヶ月後に硬化強度が増大する傾向が見られ、とくに鶏ふん堆肥や豚ぷん堆肥で顕著である。この硬化強度増大は、12ヶ月後には緩和される。
  • 有機物施用による硬化の促進は、重粘土で生じ、粘土が少ない(土性がLiC以下)の土壌では生じない(図2右)。
  • 有機物施用は有効水分量を増大させ、その効果は12ヶ月後も持続する(図3)。
  • 以上から、とくに細粒質の国頭マージの土壌物理性改善を目的とする場合、有機物資材はバガスや牛ふん堆肥(特に堆肥ペレット)を用いることが望ましい。

成果の活用面・留意点

  • 南西諸島の赤黄色土で得られた成果である。
  • 硬化を回避するためには、施用する有機物の種類を選ぶとともに、一時に多量施用することを控えるべきである。

具体的データ

図1  施用した有機物資材の分解(土壌の全炭素含量の経時変化)

 

図2  有機物資材の種類とその分解が土壌の硬化強度に及ぼす影響

 

図3  土壌の有効水分量の経時変化(粘土含量60%)

 

その他

  • 研究課題名:亜熱帯地域における野菜・花き導入のための栽培環境改善技術の確立
  • 課題ID:07-06-01-01-03-01
  • 予算区分:亜熱帯野菜・花き
  • 研究期間:1998∼2002年度
  • 研究担当者:久保寺秀夫
  • 発表論文等:
    1) 久保寺(2001) 土肥誌 72(5):649-659.
    2) 久保寺(2004) 土肥誌 75(5):565-566.