サトウキビ酢成分を投与したマウスにおけるナチュラルキラー細胞の活性亢進
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要約
サトウキビ酢のアンバーライトXAD-2000カラムクロマトグラフィ吸着画分のマウスへの投与は、腫瘍細胞やウイルスに感染した細胞を認識し攻撃するナチュラルキラー細胞の活性を亢進する。
- キーワード:サトウキビ、酢、腫瘍細胞、ナチュラルキラー細胞
- 担当:九州沖縄農研・畑作研究部・上席研究官
- 連絡先:電話096-242-7873、電子メールjyouseki-mykz@gp.affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・畑作、流通加工
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
沖縄・南西諸島の基幹作物であるサトウキビは、収益性が停滞し、作付け面積も年々減少している。それゆえ、サトウキビの新需要促進は地域経済の活性化の観点からも重要な問題である。アンバーライトXAD-2000カラムクロマトグラフィ吸着成分の100%メタノール溶出(脂溶性)画
分は急性前骨髄球性白血病培養細胞(HL-60)に対し、最も強い抗腫瘍性を示す(2004年成果情報)。これらの結果を受けて、サトウキビ酢成分のマウ
スにおけるナチュラルキラー細胞の活性亢進及び腫瘍細胞の増殖抑制効果について検討する。
成果の内容・特徴
- ナチュラルキラー(NK)細胞は正常個体抹消血中に存在する細胞傷害活性を示すリンパ球で、腫瘍細胞やウイルスに感染した細胞を認識し攻撃する。サトウキビ酢のアンバーライトXAD-2000カラムクロマトグラフィ吸着画分(吸着した成分を100%
メタノールで一括溶出した成分を減圧下で濃縮乾固)を5%含有する試験食のマウスへの投与はNK
細胞の活性を亢進し、さらに、腹腔に移植したザルコーマ細胞の増殖を抑制する傾向がある(図1∼3)。
- 脂溶性画分(アンバーライトXAD-2000カラムクロマトグラフィに吸着した成分から40%-80%メタノール溶
出成分を除去した画分)をFolch法によりスフィンゴ糖脂質、スフィンゴリン脂質、グリセロリン脂質、単純脂質に分画後、急性前骨髄球性白血病培養細胞
(HL-60)の増殖に対する各画分の影響を測定すると、単純脂質画分が最も強い増殖抑制作用を示す(図4)。
成果の活用面・留意点
- サトウキビ酢の抗腫瘍作用に関する基礎資料として活用できる。
- サトウキビ酢のアンバーライトXAD-2000クロマトグラフィ吸着画分はインビトロの実験において、抗変異原性及び腫瘍細胞に対しアポトーシス誘導成分を含有することがすでに明らかにされている。
- ここで得られた成果はマウスでのデーターであり、必ずしもヒトにそのままあてはまらない。
- この成果で用いたサトウキビ酢は加計呂麻島産である。
具体的データ

その他
- 研究課題名:サトウキビ加工品のインビボでの機能性解明
- 課題ID:07-03-04-01-19-05
- 予算区分:ランド日本IV系(暖地畑作物)
- 研究期間:2005年度(2002∼2005年度)
- 研究担当者:吉元 誠、倉田理恵、藤井信(鹿児島大学)、侯徳興(鹿児島大学)、杉本明、和田浩二(琉球大学)