スイカの短節間性および丸葉性の遺伝様式と早期選抜法

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要約

スイカの短節間性および丸葉性は単因子劣性で遺伝する。F2世代における短節間個体および丸葉個体の選抜は、いずれも第3本葉展開期からの育苗期間に可能である。

  • キーワード:スイカ、短節間、丸葉、早期選抜
  • 担当:九州沖縄農研・野菜花き研究部・野菜育種研究室
  • 連絡先:電話0942-43-8362、電子メールkitadani@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・野菜花き、野菜茶業・野菜育種
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

スイカの立体栽培は作業姿勢が改善されることにより省力・軽作業化が図られる。しかし、市販品種のつる長ではつるおろし作業が必要になるため、つるおろし作業を省略できる短節間品種の育成が求められている。また、株の総葉面積や総受光量が果実肥大に関係することから、葉形も品種育成 では重要な形質である。そこで、当研究室保存の遺伝資源より見出した短節間で切れ葉の品種と長節間で丸葉の品種を用い、短節間性および丸葉性の遺伝様式を 解明するとともに、F2世代における短節間個体および丸葉個体の早期選抜法を確立する。

成果の内容・特徴

  • 短節間品種‘F1 Garden Baby’(以下‘G’)の主つる長(摘芯後の子づる)および節間長は、長節間品種‘Guliotan’(以下‘U’)の半分程度である(表1)。
  • 短節間品種‘G’と長節間品種‘U’の交雑後代において、F1では全個体が長節間になり、F2では短節間個体と長節間個体が1:3に分離し、検定交雑BC1では短節間個体と長節間個体が1:1に分離することから、‘F1 Garden Baby’の短節間性は単因子劣性であると考えられる(表2)。
  • 丸葉品種‘U’と切れ葉品種‘G’の交雑後代において、F1では全個体が欠刻の深い切れ葉になり、F2では丸葉個体と切れ葉個体が1:3に分離し、検定交雑BC1では丸葉個体と切れ葉個体が1:1に分離することから、‘Guliotan’の丸葉性は単因子劣性であると考えられる(表2)。
  • F2世代において、短節間個体と長節間個体の主茎長の差が明確になる第3本葉展開期から、短節間個体の選抜は可能である(図1)。
  • F2世代において、切れ葉個体の葉の欠刻は第2本葉から明確に見られ、丸葉個体の選抜は第2本葉展開期以降に可能である(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 子葉完全展開期から節間伸長性について判別可能な個体もあるが、節間伸長には個体差があるため、選抜は長節間個体が急激に生長する第3本葉展開期以降に行う。

具体的データ

表1  両親および交雑後代における主つる長および節間長>

 

表2 短節間性および丸葉性の遺伝

 

図1 F2世代UGの幼苗期における主茎長の頻度分布

 

図2 F2世代UGの幼苗期における葉の欠刻の深さの頻度分布

 

その他

  • 研究課題名:スイカの立体栽培適性素材の検索
  • 課題ID:07-05-01-*-03-05
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001年∼2005年
  • 研究担当者:北谷恵美、沖村誠、曽根一純