青果物取引及び活用に関する食品産業の実需者ニーズ

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要約

食品産業の実需者は生産者との交流や直接取引、生産履歴の付帯や減農薬栽培、有機栽培など安全性に配慮した青果物をより強く望んでおり、外食産業の実需者は生産履歴の付帯や、生産者との交流や直接取引による流通の簡素化をより強く望んでいる。

  • キーワード:野菜、果樹、食品産業、外食産業、実需者ニーズ、探索的因子分析、共分散構造分析
  • 担当:九州沖縄農研・総合研究部・情報解析研究室
  • 連絡先:電話096-242-7697、電子メールgotok@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・農業経営、共通基盤・経営
  • 分類:行政・参考

背景・ねらい

消費者に安全で安心な農産物を提供するため、農業と食品産業との情報交換及び連携がますます重要になってきている。食品産業は外食 産業、中食産業、食品製造業を含み、農産物の調理や加工を通してその価値を高め消費者に提供する役割を担っており、消費者ニーズに応えた食材をいかに入手 するかが重要な課題である。また、農業生産者においても食品産業に属する実需者のニーズ把握が極めて重要である。そこで食品産業の実需者が抱く青果物に対 するニーズをアンケート調査により明らかとする。

成果の内容・特徴

  • 食品産業の実需者に対する因子分析(探索的因子分析)の結果、生産者との交流や直接取引に対するニーズ、有機農産物 など安全性に配慮し来歴の明らかな農産物に対するニーズ、市場価格よりも安く仕入れたいとする低価格に対するニーズ、規格や供給期間などを統一してほしい とする規格や供給に対するニーズが顕在化する(図1右)。
  • 食品産業の実需者全体に対する検証的因子分析(共分散構造分析)の結果、食品産業の実需者は生産者との交流や直接取引、生産履歴の付帯や減農薬栽培、有機栽培など安全性に配慮した青果物をより強く望んでいる(図1左)。
  • 一方、業種を外食産業の実需者のみに限定した因子分析結果では、農薬の使用状況や誰が作ったものかなどがわかる生産 履歴に対するニーズ、生産者からの直接取引や交流、仕入れルートの簡素化等に対するニーズ、規格や供給期間などを統一してほしいとする規格や供給に対する ニーズ、話題性や風味などこだわり商品に対するニーズが顕在化する(図2右)。
  • また、検証的因子分析結果から、外食産業の実需者では生産履歴の付帯がニーズとして強く表れており、次いで生産者との交流や直接取引による流通の簡素化のニーズが現れ、個性化指向がうかがえる(図2左)。

成果の活用面・留意点

  • 行政機関等において地元企業による地産地消や、食品産業と農業生産者や農業生産法人との連携を推進する際の参考情報となる。
  • 分析対象企業は、熊本県内の実需者143社(外食55社、中食20社、製造68社)である。
  • ニーズ調査法は、項目に対する同意度を5段階で評価し、得られた評価得点を用いて探索的因子分析、検証的因子分析(共分散構造分析)を行い、潜在的なニーズの顕在化と総合的な評価を行う。
  • 調査結果には、業種別に差があることに留意する。
  • 分析に使用したソフトはSPSSVer14.0(探索的因子分析)及び AmosVer5.0(共分散構造分析)である。

具体的データ

図1 食品産業の実需者に対する探索的因子分析(右)、検証的因子分析(左)結果

 

図2 外食産業の実需者に対する探索的因子分析(右)、検証的因子分析(左)結果

 

その他

  • 研究課題名:九州沖縄地域における実需者ニーズ等把握のための情報解析
  • 課題ID:07-01-04-01-07-05
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2003∼2005年度
  • 研究担当者:後藤一寿