早期高糖で茎重型のサトウキビ新品種「NiN24」(旧系統名 KN91-49)

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要約

サトウキビ「NiN24」は、沖縄本島南部地域における1月から2月の収穫において、1茎重、原料茎重が重く、可製糖量が多い。早期高糖性で、夏植え型栽培により、秋から初冬季にかけての早期収穫にも対応できる。サトウキビの生産性向上と収穫の早期化に有用である。

  • キーワード:サトウキビ、早期高糖、多収、夏植え型、秋収穫栽培、沖縄本島南部
  • 担当:九州沖縄農研・バイオマス・資源作物開発チーム
  • 連絡先:電話0997-25-0100、電子メールm19597@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・畑作、作物・夏畑作物
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

沖縄本島南部では、サトウキビ生産の維持、拡大に向け、従来の1月よりも早い12月下旬からサトウキビの収穫が実施されるようになった。しかし、集中する収穫や株出し管理作業の競合を解消し、サトウキビの生産性向上を図るためには、収穫時期の一層の早期化が必要である。同地域では手刈り収穫が多く、1茎の重い品種の需要が高い。
そこで、沖縄本島南部地域におけるサトウキビの生産性向上に向け、多収で1茎が重く、秋から初冬季の収穫にも対応できる早期高糖性の品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「NiN24」は、「F167」を種子親、「CP57-614」を花粉親に用いて種子を得、1991年に実生選抜を実施して以降、1茎重と高糖性を重視して選抜した系統である(表1、図1)。
  • 沖縄本島南部における1月~2月の収穫では、「NiF8」に比べ、1茎が重く原料茎重が重いため、可製糖量が多い(表1)。
  • 夏植え型栽培(8月~9月の植付け)による早期収穫では、「NiF8」に比べ、原料茎重が重く、可製糖量が多い(表2)。
  • 夏植え型栽培による11月収穫の甘蔗糖度は基準糖度(13.1%)以上である。10月からの収穫が可能な年もある(表2)。
  • 株出し栽培で発病の多い黒穂病に対する抵抗性は“強”である(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 沖縄県が本島南部地域を対象に、11月収獲にも対応可能な品種として奨励品種に採用予定である。当面、慣行の収獲時期で「NiF8」を置き換え対象に約200haの普及を見込んでいる。
  • 新植で11月収穫を行う場合には、夏植え型(8月~9月の植付け)で栽培する。
  • 重粘なジャーガル土壌における春植えでは、発芽の確保に向け、硬化していない充実した芽子を持つ健全な種苗を用いるとともに、過覆土とならないようにする。

具体的データ

表1 サトウキビ新品種候補「NiN24」の特性概要

図1.「NiN24」の立毛状況

表2 夏植え型栽培による「NiN24」の早期収穫調査結果

その他

  • 研究課題名:暖地・南西諸島の農業を支えるさとうきび等資源作物の低コスト安定生産技術の開発
  • 課題ID:211-g
  • 予算区分:基盤、委託プロ(加工プロ3系)
  • 研究期間:1990~2006年度
  • 研究担当者:伊禮信、松岡誠、寺島義文、境垣内岳雄、氏原邦博、福原誠司、杉本明
  • 発表論文等:杉本明ら (2003) 日作九支報 69:58-60