4病害複合抵抗性で果実揃いに優れる新品種「カレンベリー」(旧系統名 イチゴ久留米58号)
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要約
「カレンベリー」は、炭疽病、うどんこ病、萎黄病および疫病に対して抵抗性を有し、果実の揃いがよい。やや晩生で、半促成栽培および露地栽培に適する。
- キーワード:イチゴ、炭疽病、うどんこ病、萎黄病、疫病、複合病害抵抗性、省力型品種
- 担当:九州沖縄農研・イチゴ周年生産研究チーム
- 連絡先:電話0942-43-8362、電子メールtoma23@affrc.go.jp
- 区分:九州沖縄農業・野菜花き、野菜茶業・野菜育種
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
イチゴの栽培では、炭疽病、うどんこ病、萎黄病等の発生が大きな問題となっている。しかし育種では、これまで生態特性や果実品質を重視してきたこともあって、安定生産や減農薬栽培のために重要な耐病性の付与が遅れている。また、イチゴ栽培において総労働時間の5割を占めている収穫調製作業の省力化が可能な品種が求められている。そこで、重要病害である炭疽病、うどんこ病、萎黄病に対して抵抗性を有し、大果で、果実の大きさと形状の揃いが良いイチゴの実用品種の育成を目指す。
成果の内容・特徴
- 「カレンベリー」は、萎黄病に強い「はつくに」を母親に、食味が優れ、うどんこ病に強い「てるのか」を父親として交雑して1994年に得られた実生から選抜される。
- 炭疽病および萎黄病に対して中~やや強程度、うどんこ病および疫病に対して強度の抵抗性を示す。(表1)。
- 草姿は立性で中間直枝型の果房形態を有し、果房当たりの着果数が少なく摘果作業が不要である(図1)。
- 果実の大きさと形状の揃いが良く、パック詰め作業が省力化できる(図1、表2)。
- 果実は円錐~短円錐形、果皮色は橙赤~赤で光沢があり、果肉色は淡赤である。「とよのか」と比べ果実硬度は高く、糖度と酸度はやや低いが、食味は良好である(表3)。
- やや晩生のため、半促成栽培および露地栽培に適する(表3)。
成果の活用面・留意点
- 民間種苗会社(ミヨシ)から家庭園芸用として普及予定である。
- 高度の複合病害抵抗性と果実の大きさの揃いに優れる点を活かして、減農薬栽培への取り組みが可能な省力型品種として利用できる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:西南暖地におけるイチゴの周年高品質生産技術の開発
- 課題ID:213-b.2
- 予算区分:基盤研究費
- 研究期間:2001~2006年度
- 研究担当者:曽根一純、沖村誠、野口裕司、望月龍也、北谷恵美