線虫抵抗性で良食味の食用カンショ新品種候補系統「九州138号」
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要約
カンショ「九州138号」は、いもの皮色や外観が優れ、線虫抵抗性を示す。蒸しいもの食味も良好である。
背景・ねらい
徳島県では「高系14号」の選抜系統である「なると金時」が海砂を客土した砂地畑で栽培されており、全国有数のサツマイモブランドが確立されている。「なると金時」の皮色、形状や食味は市場から一定の評価を受けているが、生産者の中には「なると金時」よりさらに外観品質、食味、収量性や病害虫抵抗性が優れた品種を導入することにより、産地の活性化を図ろうとする動きがある。こうした要望に応えるため、いもの外観、食味や線虫抵抗性などが優れた食用品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 「九州138号」は平成7年に、皮色やいもの外観が優れる「関東107号」を母、いもの外観が良好な「九州121号」を父として交配し選抜した系統である。
- いもの形状は紡錘形、皮色は赤紅で外観は「高系14号」より優れる(表1、図1)。
- 蒸しいもの肉色は淡黄で食味は「高系14号」より優れる(表2)。
- サツマイモネコブセンチュウ抵抗性は「強」で「高系14号」より優れる。ミナミネグサレセンチュウには「やや強」の抵抗性を示し、黒斑病には「中」である(表1)。
- 育成地での上いも重は「高系14号」に劣るが、徳島の砂地畑では「なると金時」に優り、A品収量も高い(表3)。
- 貯蔵性は「やや易」で、「高系14号」よりやや劣る(表1)。
成果の活用面・留意点
- 徳島県の砂地畑で普及に移される予定である(普及見込み面積50ha)。
- 水はけの悪い土壌条件では、いもの表面に皮目が多く発生し外観品質を損なうので過湿になりすぎないように注意する。
- 黒斑病抵抗性が「中」であるので、 種いもや苗消毒を徹底し、圃場管理を適切に行う。
- ネコブセンチュウ抵抗性はSP1レースが優先の試験圃場での結果である。
具体的データ




その他
- 研究課題名:良食味で加工適性に優れた甘しょ品種の育成と新たな有用特性を持つ甘しょ育種素材・系統の開発
- 課題ID:311-e
- 予算区分:交付金、基盤
- 研究期間:1995~2006年度
- 研究担当者:吉永 優、甲斐由美、石黒浩二、熊谷 亨、片山健二、境 哲文、中澤芳則、山川 理