サツマイモの品種識別に利用可能なDNAマーカー

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要約

新たに開発した26個のDNAマーカーを用いることにより、葉身由来のDNAを試料として主要な国内登録品種を含む103のサツマイモ品種・系統を相互に識別できる。

  • キーワード:サツマイモ、品種識別、DNAマーカー
  • 担当:九州沖縄農研・機能性利用研究チーム
  • 連絡先:電話0986-24-4273、電子メールmtanaka@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・畑作、九州沖縄農業・流通加工
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

サツマイモ品種の多様化に伴い、栽培・流通段階における品種の混乱が問題となっている。また、海外から輸入されるサツマイモ加工品に国産品種の使用が疑われる場合も見られ、品種識別技術の開発の必要性が高まっている。栽培条件の影響を受けやすい地上部や塊根の形質のみでは品種の識別が難しい場合も多く、DNAマーカーを利用したサツマイモ品種識別技術の開発が求められている。本研究のねらいは、サツマイモの品種の識別に利用可能なDNAマーカーの開発である。

成果の内容・特徴

  • 品種識別には、サツマイモの遺伝子配列から設計した12組のプライマーを用いる(表1)。葉身からCTAB法で抽出したDNAを鋳型としてPCR反応を行い、増幅産物を制限酵素処理して得られる断片をマーカーとして利用する。
  • 表1に示すプライマーと制限酵素の組み合わせにより品種・系統間で多型の見られるマーカーが合計26個得られる。これらのマーカーの有無をもとに品種を識別する(表2、図1)。
  • 得られたマーカーを利用することにより、66の国内登録品種を含む103の品種・系統を相互に識別できる(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 表2に示した以外の品種・系統の多型データは、問い合わせに応じて提供可能である。
  • 特定の品種を識別するために利用するマーカーセットを選定するための資料として活用できる。
  • 葉身以外の組織や加工品を試料として用いる場合には、DNAの抽出方法やPCR反応の条件を検討し、上記のマーカーが利用可能であるか確認する必要がある。

具体的データ

表1 増幅用プライマーと制限酵素の組み合わせ

表2 代表的なサツマイモ品種におけるマーカーの多型パターン

図1 マーカーの検出例

表3 相互識別可能な品種の内訳

その他

  • 研究課題名:暖地型栄養系遺伝資源の収集・保存と特性評価
  • 課題ID:312-a
  • 予算区分:交付金、ジーンバンク
  • 研究期間:2004~2005年度
  • 研究担当者:田中勝、高畑康浩、中山博貴、熊谷亨(作物研)、吉永優
  • 発表論文等:田中ら(2005)九農研 67:28