スターフルーツのプロアントシアニジン含有物のラット血糖値上昇抑制作用

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要約

スターフルーツから調製した3~12量体および5~30量体のプロアントシアニジンを含む画分は、α-グルコシダーゼとα-アミラーゼに対する阻害活性を示す。各画分をラットに投与すると糖類負荷による血糖値と血中インスリン濃度の上昇を抑制する。

  • キーワード:スターフルーツ、プロアントシアニジン、血糖値上昇抑制
  • 担当:九州沖縄農研・機能性利用研究チーム
  • 連絡先:電話096-242-7742、電子メール tomooki@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・流通加工
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

2型糖尿病の予防と治療は食後血糖値の急激な上昇を抑制することにより達成される。
そこでスターフルーツから糖類加水分解酵素に対して阻害性を示す画分を調製し、成分特性や機能特性ならびにラットに経口投与した場合の血糖値上昇抑制作用を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • スターフルーツから70%アセトン/0.5%酢酸水溶液で調製した抽出液をSephadex LH-20カラムに負荷後、メタノールおよび70%アセトンで溶出した画分にはプロアントシアニジンが含まれている(図1)。これら溶出画分の各々のフラクションはα-グルコシダーゼ阻害活性(α-グルコシダーゼによるマルトースからグルコースへの加水分解反応の阻害程度を示す指標。糖吸収遅延と関連する)を示すが、それらの活性はプロアントシアニジン濃度に比例して高まる(図1)。
  • メタノール溶出画分と70%アセトン溶出画分をマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)で分析すると、それぞれ3~12量体および5~30量体のBタイプのプロシアニジンが検出される(表1)。また両画分はα-グルコシダーゼ阻害活性に加えて、α-アミラーゼ阻害活性(α-アミラーゼによるデンプンの加水分解反応の阻害程度を示す指標)を示す(表1)。
  • メタノール溶出画分と70%アセトン溶出画分をラットに経口投与すると、マルトース負荷による血糖値および血中インスリン濃度の急激な上昇を抑制する(図2左)。可溶性デンプン負荷の場合には、血糖値の上昇抑制作用は弱いが、血中インスリン濃度の急激な上昇を抑制する(図2右)。また、メタノール溶出画分と70%アセトン溶出画分の効力はほぼ同程度である。

成果の活用面・留意点

  • 本成果はスターフルーツの加工・利用に携わる企業等により活用できる。
  • 本成果は実験動物であるラットでの結果である。糖尿病予防を目的とした食品を開発するにあたっては、スターフルーツを原材料としたプロアントシアニジン含有食品による血糖値上昇抑制作用をヒト介入試験の実施により確かめる必要がある。
  • 本成果で用いたスターフルーツは沖縄県那覇市の市場で購入した。スターフルーツに含まれるプロアントシアニジンの量は品種や系統、熟度により異なる。

具体的データ

図1.スターフルーツ抽出液のカラムクロマトグラフィーによる分画

表1.スターフルーツから調製したプロアントシアニジン抽出物の特性

図2.メタノール溶出画分および70%アセトン溶出画分の経口投与による糖類負荷ラットの血糖値ならびに血中インスリン濃度の上昇抑制

その他

  • 研究課題名:いも類・雑穀等の機能性の解明と利用技術の開発
  • 課題ID:312-a
  • 予算区分:沖縄対応
  • 研究期間:2004~2006年度
  • 研究担当者:沖智之、須田郁夫、亀山眞由美(食総研)、相澤順子、菅原晃美、西場洋一、小林美緒、
                      永井沙樹、竹市美和子