サイレージ用トウモロコシ一代雑種の新親品種候補「Mi91」
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
サイレージ用トウモロコシの親自殖系統「Mi91」(エムアイキュウジュウイチ)は、“中生の晩”のフリント種で、ごま葉枯病抵抗性と耐倒伏性に優れ、組合せ能力が高い。「Mi91」を種子親とする一代雑種は、南方さび病に強く、TDN収量が高い。
- キーワード:トウモロコシ、自殖系統、ごま葉枯病抵抗性、耐倒伏性、飼料作物育種
- 担当:九州沖縄農研・周年放牧研究チーム
- 連絡先:電話0986-24-4275
- 区分:九州沖縄農業・畜産草地、畜産草地
- 分類:研究・普及
背景・ねらい
トウモロコシの栽培品種は、形質の固定した自殖系統どうしを交配した一代雑種(F1)である。F1には、収量などに雑種強勢が現
われるほか、耐病性・茎葉TDN含量などには両親の形質が受け継がれるため、優良F1品種の育成には優秀な自殖系統の育成が不可欠である。とくに晩播・夏
播き栽培では、南方さび病に強く雌穂収量とTDN収量が高く、九州地域に適したF1品種が必要である。そこで、晩播・夏播き用F1品種の親として、組合せ
能力が高く諸形質に優れた自殖系統を育成する。
成果の内容・特徴
- 南方さび病抵抗性改良集団から選抜した改良集団「RD96-12」から、ごま葉枯病抵抗性、耐倒伏性などについての選抜と自殖により育成した自殖系統である。
- 早晩性は「Mi44」並で(表1)、“中生の晩”に属する。
- 稈長は「Mi44」並で、着雌穂高は「Mi44」より高く「Mi62」より低い。稈径は「Mi62」並である(表1)。雌穂は“円筒~先端円錐型”で、粒列数は平均12.8列、粒は“橙色”で“丸形”である。
- ごま葉枯病抵抗性及び紋枯病抵抗性はいずれも“強”である(表2)。耐倒伏性は「Mi44」および「Mi62」より強い(図1)。
- 採種性は、実収量で38.4kg/aで、デント種の「Mi44」および「Mi62」より多い。花粉飛散程度は「Mi44」および「Mi62」より多い(表1)。
- 組合せ能力は高い。本系統を種子親とする単交雑F1品種「なつむすめ」は、晩播・夏播き栽培において南方さび病に強く、耐倒伏性に優れ、同熟期の普及品種と比べて、TDN収量が高い(表3)。
成果の活用面・留意点
- サイレージ用トウモロコシF1品種の親系統として利用できる。
- ワラビー萎縮症抵抗性は弱いので、夏播き用の単交雑F1育成時の交配相手にはワラビー萎縮症抵抗性の強い系統を用いる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:周年放牧による放牧(肥育)期間の延長と自給飼料資源を活用した肉用牛の育成・肥育システムの開発
- 課題ID:212-d
- 予算区分: 交付金(基盤)、委託プロ(えさプロ)
- 研究期間:1996~2007年度
- 研究担当者:澤井 晃、村木正則、池谷文夫、伊東栄作、濃沼圭一、江口研太郎