暖地大豆作における帰化アサガオ類の発生状況と収穫物への種子の混入

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要約

暖地大豆作では、帰化アサガオ類のうち、アメリカアサガオとホシアサガオの発生頻度が高い。帰化アサガオ類の種子はコンバイン収穫時に大豆子実中へ混入し、大豆乾燥調製施設において分離される廃棄物中にはそれらの種子が多く含まれる。

  • キーワード:帰化アサガオ類、暖地大豆作、アメリカアサガオ、ホシアサガオ、発生状況
  • 担当:九州沖縄農研・九州水田輪作研究チーム
  • 連絡先:電話0942-52-3101
  • 区分:九州沖縄農業・水田作、共通基盤・作付体系・雑草
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

除草剤による防除効果が低いため難防除雑草となっている帰化アサガオ類は、大豆生産において多大な減収をもたらすことが知られている(3.3~40本/m2の 発生量で42~81%減収、マメアサガオ)。暖地大豆作においてもすでに発生しているが、実態は十分に把握されていない。暖地では帰化アサガオ類は大豆の 収穫期に開花~結実期を迎える。それらの種子のサイズは比較的大きいため、コンバイン収穫時に大豆子実中へ混入する可能性が高く、大豆子実の乾燥阻害や汚 損粒の発生、発生圃場以外への種子拡散の原因となると考えられる。大豆子実中の不純物は大豆乾燥調製施設の選別機で分離されるので、廃棄物調査によって種 子の混入を確認できる。そこで、暖地大豆作における帰化アサガオ類の発生実態と種子の大豆収穫物への混入実態を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 帰化アサガオ類は、福岡県、佐賀県、大分県、熊本県の暖地大豆作において発生し、それらが大発生した圃場(アサガオ類が一筆圃場の50%以上の面積で発生し、大豆の生育に著しく干渉)も10地域で確認される(図1)。
  • 暖地大豆作において発生が確認された帰化雑草(30種)のうち、帰化アサガオ類の発生頻度は上位に入る。帰化アサガオ類の中ではアメリカアサガオとホシアサガオが多く(表1)、他にはマメアサガオ、マルバルコウとアサガオが認められる。
  • 帰化アサガオ類の種子はコンバイン収穫時に大豆子実中へ混入しており、大豆乾燥調製施設において大豆子実から分離された廃棄物中にはそれらの種子が多く含まれる。種子の混入割合でもアメリカアサガオとホシアサガオの頻度が高い(表2)。
  • 福岡県内にある大豆乾燥調製施設からの廃棄物の移送先は、産業廃棄物処分業者、畜産農家、JA全農(ふくれん)である。JA全農では廃棄物を再分別して、その一部を飼料や堆肥として出荷している(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 防除対象種の絞り込みや拡散防止などの帰化アサガオ類の防除対策策定の参考資料とする。
  • マルバアメリカアサガオ(アメリカアサガオの変種)はアメリカアサガオに含めて調査した。
  • 廃棄物中には帰化アサガオ類以外の雑草種子も混入している。
  • 畜産農家やJAに移送された廃棄物に含まれる帰化アサガオ類の種子の一部は、生存した状態で耕地へ拡散される可能性がある。

具体的データ

図1 暖地大豆作において帰化アサガオ類の発生が確認された圃場の位置(2006年、2007年)

表1 暖地大豆作1)において観察された帰化雑草(上位11種)

図2 福岡県内にある大豆乾燥調製施設(4ヶ所)で分離された廃棄物の移送先(聞き取り調査)

表2 大豆乾燥調製施設に集荷された大豆子実から分離された廃棄物1)に含まれる帰化アサガオ類の種子

その他

  • 研究課題名:
  •   地域条件を活かした高生産性水田・畑輪作のキーテクノロジーの開発と現地実証に基づく輪作体系の確立

  • 課題ID:211-k
  • 予算区分:加工プロ
  • 研究期間:2006~2007年度
  • 研究担当者:住吉正、保田謙太郎