九州北部における除草剤抵抗性スズメノテッポウの発生実態

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要約

スズメノテッポウの除草剤抵抗性バイオタイプは、九州北部の麦作地帯の広い範囲に発生する。その中にはチフェンスルフロンメチル抵抗性、トリフルラリン抵抗性および両成分に対する複合抵抗性バイオタイプが存在する。

  • キーワード:抵抗性、スズメノテッポウ、チフェンスルフロンメチル、トリフルラリン
  • 担当:九州沖縄農研・雑草バイオタイプ・総合防除研究チーム
  • 連絡先:電話0942-52-0675
  • 区分:九州沖縄農業・水田作、共通基盤・作付体系・雑草
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

福岡県内の麦作圃場において、作用機作の異なる2種類の除草剤チフェンスルフロンメチルとトリフルラリンに対して抵抗性を示すス ズメノテッポウの複合抵抗性バイオタイプが確認された。九州北部の麦作では、当該地域と同様の除草体系を行っている地域が多いことから、九州北部の麦作圃 場におけるスズメノテッポウの繁茂状況を調査し、除草剤抵抗性バイオタイプの発生実態を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 九州北部(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県)の麦作地帯でスズメノテッポウが繁茂する圃場の83%で除草剤抵抗性バイオタイプを確認した(図1、表1)。その発生は、本地域の全県で認められ、コムギ作圃場およびオオムギ作圃場のいずれにおいても発生する(表2)。
  • 抵抗性バイオタイプには、チフェンスルフロンメチルに対してのみ抵抗性を示すもの(繁茂圃場の10%)、トリフルラリンに対してのみ抵抗性を示すもの(同54%)、両方に抵抗性を示すもの(同18%)が存在し(表1)、各抵抗性には明確な地理的分布の偏りは認められない(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は、2005年~2007年の5月に、九州北部の麦作地帯の87筆のスズメノテッポウ繁茂圃場から種子を採取して抵抗性の検定を行った結果である。
  • 麦作における除草体系の策定に活用する。
  • 複数の抵抗性バイオタイプが確認されることから、現地ではいずれの抵抗性バイオタイプかを確認した上で、抵抗性を持つ除草剤とは作用機作の異なる除草剤の使用や中耕等耕種的防除を活用した除草体系を構築する必要がある。
  • スズメノテッポウのチフェンスルフロンメチルおよびトリフルラリンに対する抵抗性は、発根法および発芽法で検定できる。
  • 除草剤抵抗性バイオタイプの発生が確認された圃場では、トリフルラリンもしくはチフェンスルフロンメチルが連年使用されていることが知られていることから、同一除草剤の連年使用は避ける。

具体的データ

図1 北部九州におけるスズメノテッポウの除草剤抵抗性バイオタイプの分布状況

 

表1 繁茂圃場におけるスズメノテッポウの除草剤に対する感受性 表2 県別・作物別のスズメノテッポウの抵抗性バイオタイプ発生圃場数

 

その他

  • 研究課題名:麦作雑草スズメノテッポウにおける除草剤複合抵抗性バイオタイプの出現機構の解明
  • 課題ID:214-b
  • 予算区分:基盤研究費
  • 研究期間:2005~2007年度
  • 研究担当者:大段秀記、住吉正、小荒井晃、内川修(福岡県農試)