Excel上で簡易に利用できる搾乳牛向け最小費用飼料設計ツール

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要約

本ツールはExcel上で作動し、表示される入力フォームから(1)設計に用いる飼料、(2)目標乳量等の牛群条件や温度等の環境条件、(3)飼料別の給与上限や下限を設定することにより、これら条件を満たす最小費用飼料設計を簡易に行うことができる。

  • キーワード:搾乳牛、飼料設計、飼料費最小化
  • 担当:九州沖縄農研・イネ発酵TMR研究チーム
  • 連絡先:電話096-242-7574
  • 区分:九州沖縄農業・畜産草地、畜産草地、共通基盤・総合研究(飼料イネ)
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

乳牛の飼料設計では養分要求量を満たしつつ、飼料費を低減させる飼料の組み合わせの探索が重要であり、数理計画法を用いた最小費 用飼料設計は有効な手段の一つである。そこで、数理計画法に関する知識を必要としない、Excel上で簡易に最小費用飼料設計を行うことができる飼料設計 ツールを開発する。

成果の内容・特徴

  • 本ツールはMicrosoft社のExcel(2002以降)で作動し、5枚のワークシート(飼料リストシート、初期画面 シート、要求量計算シート、ソルバー設定シート、計算結果シート)と4つの入力フォーム(飼料設定フォーム、目標設定フォーム(1)、目標設定フォーム (2)、給与制約設定フォーム)から構成されている。
  • ユーザーは初期画面シートから入力フォームを順次呼び出し、
    1) 飼料設定フォームでの飼料の選択
    2) 目標設定フォーム(1)での牛群条件等の設定
    3) 給与制約設定フォームでの飼料別給与上限等の設定
    を行えばよく、結果は計算結果シートに出力される(図1)。
  • 養分要求量は目標設定フォーム(1)を基に日本飼養標準乳牛(2006年度版)に準じて内部的に計算されるが、目標設定フォーム(2)で養分要求量の修正・追加を行うこともできる(図1)。
  • 入力フォームで設定された条件を満たし、かつ最小費用の飼料設計が自動的に行われる。
  • 計算結果は各飼料の現物給与量、現物構成割合、乾物構成割合、飼料全体の成分構成、飼料費合計値が計算結果シートへ表示される(図1)。計算結果をオリジナルTMRとして飼料リストシートに登録することもできる。

成果の活用面・留意点

  • 生産現場において飼料費を考慮した飼料設計を行うことができる。
  • ユーザーは設計に用いる飼料の成分・価格を飼料リストシートに入力する必要がある。
  • 本ツールは咀嚼時間や蛋白質の分解性等は配慮していない。利用に際しては日本飼養標準乳牛5章「飼料給与上注意すべき事項」等を参照されたい。
  • 入手問い合わせは九州沖縄農業研究センター・イネ発酵TMR研究チームまで。

具体的データ

図1 飼料設計ツールの概要

 

その他

  • 研究課題名:暖地における飼料イネ等の発酵TMR生産技術の開発による地域利用システムの構築
  • 課題ID:212-b
  • 予算区分:基盤、えさプロ
  • 研究期間:2007年度
  • 研究担当者:西村和志、鈴木知之、神谷充
  • 発表論文等:西村ら(2007)農業経営通信、234:6-9